2019 Fiscal Year Research-status Report
連続暗黒飼育で阻害される精子形成をシスチン添加食が改善するメカニズム解明の研究
Project/Area Number |
18K11112
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
花井 美保 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 教授 (70337781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小幡 史子 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (80333566) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 連続暗黒飼育 / テストステロン / 低タンパク質 / 精巣 / ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、若齢雄ラットを低タンパク質食で連続暗黒下で飼育すると精巣重量が低下し、精子形成にも悪影響があらわれるが、シスチンを低タンパク質食に添加することで精子形成が改善されること、そしてシスチン添加による精子形成の改善はテストステロン合成の上昇が関与していることを報告した。そこで今年度は、テストステロン合成を行う精巣ライデッヒ細胞の分化程度を反映するInsl3(インスリン様因子)に着目した。 Fischer系4週齢雄ラット100匹を飼育条件の違い、飼料の違いにより4群に群別した。飼育条件は正常明暗下(N)、または連続暗黒下(D)、飼料はAIN-93G飼料をベースにカゼインを9%とした低タンパク質食(9%)、または低タンパク質食にシスチンを添加した飼料(Cys)の2種類である。4週間飼育後、解剖し、精巣Insl3 mRNAの発現量と、精巣重量、血中テストステロン(T)濃度、精巣LHR(黄体形成ホルモン受容体) mRNA発現量などとの相関を検討した。精巣重量(g)は、N飼育群がD飼育群より、Cys飼料群が9%飼料群より高値を示した。T濃度はD飼育群がN飼育群より高値を示し、LHRのmRNA発現量に4群間の差は認められなかった。Insl3と精巣重量の相関は、DCys群で正の相関、D9%群で正の相関がある傾向(p<0.06)が認められた。Insl3とT濃度の相関は、いずれの群でも認められなかった。Insl3とLHRの相関は、NCys群で正の相関が認められた。精巣重量が低値である連続暗黒飼育ラットにおいてInsl3と精巣重量に正の相関がみられたことから、精巣の発達段階ではInsl3は増加すること、一定重量以上に発達した精巣ではInsl3は変化しないことが示された。しかし、Insl3のmRNA発現量は、この実験条件においてはテストステロン合成の指標にはならないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Insl3のmRNA発現量が、精巣発達の初期段階の指標となることが示され、次年度の方向性を決めることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
Insl3に加え、テストステロン合成に関与する候補遺伝子を探索を行う。
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Causes of Carryover |
2019年度に実施予定であった免疫染色が出来なかったため助成金に残額が生じたが、2020年度に候補遺伝子のウェスタンブロッティングを実施するために使用する予定である。
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