2018 Fiscal Year Research-status Report
Metabolic pathway and blood brain barrier permeability of anthocyanin component and its metabolites
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18K11113
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
松本 均 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (00566292)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アントシアニン / Phloroglucinol aldehyde / 4-Hydroxybenzoic acid / Protocatechuic acid |
Outline of Annual Research Achievements |
①ラットにおけるアントシアニン(AC)経口投与時の代謝物の確認。ラットにカシスAC(混合物、AC含量10%)を投与し、その尿中に排泄される代謝物を検討し、LCMSMSを用いた分析で、10種のフェノール性物質を同定できた。それは、4-Hydroxybenzoic acid, Protocatechuic acid, Gallic acid, ploroglucinol aldehyde, ploroglucinol acid, Ferulic acid, 3-(4-Hydroxyphenyl)propionic acid, Caffeic acid, Syringic acid, Vanillic acidであった。また、同様にLCMSMSを用いた分析でintactのACも確認できた。 ② LCMS/MS を用いた低分子フェノール類の微量分析系の確立。尿へのACと代謝物10種の添加回収試験を行い、サンプルの処理法を最適化することで、良好な回収率が得られ、ACと代謝物の尿中での測定系が確立できた。 ③動物実験用アントシアニン精製品の調製。動物実験の精製ACを、①に用いた10%ACを含むカシスAC混合物から調整を試みた。カシスに主に含まれる4種のAC, Delphinidin-3-glucoside, Delphinidin-3-rutinoside, Cyanidin-3-glucoside, Cyanidin-3-rutinosideをそれぞれ10g以上、高純度(ほぼ100%)で調製することに成功した。 ④ACの安定性の検討。ACの定量は、通常pH1~2の酸性領域で測定するが、生体内では、pH6~8の中性領域であるため、その安定性を評価した。結果、酸性では水溶液中でも安定であるが、中性では、24時間37℃で分解することが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①ラットにおけるアントシアニン(AC)経口投与時の代謝物の確認において、ターゲットとなる代謝物10種類が確定できた。 ②ACと代謝物微量分析系の確立において、尿へのACと代謝物10種の添加回収試験を行い、サンプルの処理法を最適化することで、LCMSMSを用いて定量することで良好な回収率が得られ、ACと代謝物の尿中での測定系が確立できた。一方、血漿中のACもLCMSMSを用いた分析系の確立を試みたが、高感度での分析は難しい状態である。理由としては、血漿中のリン脂質や蛋白質とACが結合して、イオン化を妨げていると予想される。そのため血漿中のAC分析は、HPLCDADで行うこととした。血漿中のその他の代謝物の分析系の確立は終了していないが、概ね順調に推移している。 ③動物実験用アントシアニン精製品の調製法が確立でき、実験を繰り返すことで、順調にサンプルが入手できている。 ④ラットへのAC投与の予備実験を行った。カシスAC10%を含む混合物について、経口投与し尿中と血漿中のACと代謝物の定量と同時に脳を摘出し、そのAC,代謝物量の測定を試みた。結果は、LCMSMSを用いてACと代謝物のいくつかが検出されたが、固体によっておおきなばらつきがあった。原因は、血液と同様に脳には多量のリン脂質が含まれているため、ACや代謝物のイオン化を妨害している可能性が高い。従って、サンプルの前処理法をよく検討し、正確な分析を行うよう試みる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
①前年度までに、微量分析系の確立がほぼ終了し、また、動物に登用するためのACの調製法が確立できた。ACは、リン脂質や蛋白質と結合する性質があり、MS分析ではイオン化が不安定で、微量分析が難しい状況である。従って、吸収されるAC量を増加させる必要があり、例えば、フィチン酸やクエン酸などと同時にACを経口摂取する必要があり、詳細を検討する予定である。②脳中のACと代謝物の分析系の構築。脳をホモジナイズしたものにACあるいは代謝物を加え、その回収率や定量性を検討する。その後、ラットにACを投与した際の脳内各部位におけるアントシアニンとその低分子フェノール代謝物の確認を行う ③血中で検出されるアントシアニン、低分子ポリフェノールの血液脳関門の透過性の検討を行う。検討には、市販のBBB キットを用いる。BBB キットは、血液脳関門の構成細胞である脳毛細血管内皮細胞、周皮細胞及び星状神経膠細胞の3 種類の細胞により構成されており、血液脳関門透過性の評価が可能なキットである。また、アントシアニンの代謝に関する腸内細菌の関与検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は、分析系の確立に苦労したため、動物実験や細胞を用いた試験に移行できなかった。従って、多少の消耗品しか使わなかったため、次年度に使用する予定である。 特に、細胞培養キットは、1キット約50万円と高価であり、2019年度に集中して使用する予定であり、2018年度は極力出費を控えた。
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