2019 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中発症ラット骨格筋由来の新規遺伝子群を標的とした病態改善への有効性の検討
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18K11116
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
井上 敬夫 近畿大学, 医学部, 助教 (00441006)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 骨格筋 / マイオカイン / 骨格筋発育低下 / 高血圧 / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋は姿勢維持や動作を生み出すといった運動器としての機能だけでなく、マイオカインとよばれる一群のタンパク質を分泌することによって全身の恒常性維持に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。これは、骨格筋の衰えや発育異常が運動機能のみならず、他の疾患の発症や増悪へと結びつくことを示している。我々は高血圧ラットにおいて病態依存的に骨格筋の発育低下がみられることを明らかにしており、この骨格筋の発育不良と疾患増悪が相互に影響を及ぼし合っているとの仮説を立てた。仮説を検証するために、脳卒中発症ラット(SHRSP)と正常血圧ラット(WKY)の骨格筋に対してマイクロアレイ解析を行い、これまでに骨格筋との関連性が報告されていない新規遺伝子群を見出した。本研究では、骨格筋機能に影響を及ぼすと考えられる新規遺伝子群に焦点を置き、骨格筋の発育低下と病態との相互関連性及び病態改善への有効性を明らかにする。 今年度は新規遺伝子群を骨格筋細胞株へ遺伝子導入することにより、当該遺伝子産物の細胞内局在を決定し、相互作用を行うタンパク質の解析を行った。得られた結果をIngenuity Pathway Analysisで解析を行うことにより、当該遺伝子産物が関係する分子間ネットワークの候補を探索することで新たなメカニズムや治療候補の検討も行った。解析遺伝子群の中には機能未知の遺伝子も存在するため、更に詳細な機能解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に細胞株への遺伝子導入(特に導入効率)の問題はほぼ程度解決されたため、機能解析を行っていたが、導入による細胞へのダメージが課題となっていた。その中で細胞への遺伝子導入によるダメージがほとんど確認されず、遺伝子導入効率のより良い手法を見出したため、機能の再解析並びに今年度予定分の研究を行っている。その作業も終盤に入りつつあるため、現在は最終年度分の準備をしつつ進めている。そのため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは細胞株を用いた研究を中心に行ってきたが、次年度は細胞レベルでの解析により得られた知見を基に動物を用いた実際の影響を調べる。
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