2019 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病個別化療法の確立を目指した糖尿病における分化転換の分子基盤の研究
Project/Area Number |
18K11119
|
Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
沖田 直之 山陽小野田市立山口東京理科大学, 薬学部, 講師 (60453841)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋上 賀一 東京理科大学, 薬学部生命創薬科学科, 教授 (90253640)
柴田 淳史 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (30707633)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 2型糖尿病 / 膵島 / 分化転換 / 機能疲弊 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに条件を詰めた糖及び脂肪酸添加によるβ細胞の機能疲弊及び分化転換のin vitro培養モデルを用いて、下記に示す科学的知見(トランスクリプトーム及びより詳細な細胞機能)の収集を、急性毒性(数日レベル)、慢性毒性(数週間レベル)の観点から実施した。
実績1 トランスクリプトーム解析)次世代シークエンサーを用いたSAGE解析によって、糖及び脂肪酸の急性及び慢性毒性による遺伝子発現レベルの変動を評価した。糖と脂肪酸による過栄養ストレスにおけるこれまでの数々の知見より、急性障害と慢性障害の遺伝子発現応答は異なるとの仮説を立てていたが、実際の解析結果より、この仮説が正しいものであることが示唆されるデータを得ることができた。
実績2 細胞機能解析)ルシフェラーゼ系を用いた細胞内ATP/ADPレベルassay、CellROX reagentを用いた細胞内活性酸素種レベル、Click-IT LPO reagentを用いた細胞内過酸化脂質レベルの測定系の立ち上げを行った。さらに、過栄養ストレスによって急性及び慢性障害を惹起した細胞群に対して、グルコース誘導性insulin分泌能の評価のサンプル調整を完了した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサーによる網羅的解析で、急性障害と慢性障害の相違が実際に同一の実験系で得られたことは、本研究課題の推進において非常に大きな意味がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の報告では、「機能疲弊の表現系に関しては、細胞集団としての解析で確認できている一方で、分化転換に関しては細胞集団での解析系では、明確な表現系を捉えられていない」としたが、本年度先行した次世代シークエンサーによる網羅的遺伝子解析の結果を見てみると、バルクのタンパク質レベルでは大きな変動は認められていなかったが、mRNAの発現変動レベルで見てみると、これまでに分化転換のマーカーとして同定されていた複数の遺伝子発現に変動が認められた。今後は、本年度立ち上げた各種細胞機能の評価、サンプリング済みのグルコース誘導性insulin分泌能の評価、フローサイトメーターによる1細胞レベルでの解析を通して、各培養条件中の機能疲弊あるいは分化転換のポピュレーションを把握していく。
|
Causes of Carryover |
次世代シークエンサーによるSAGE解析を先行させたため、抗体の購入費用等が次年度以降に繰り越しとなったためであり、次年度以降計画的に使用する。
|