2019 Fiscal Year Research-status Report
肥満を伴うサルコペニア発症予防における腸内環境の重要性
Project/Area Number |
18K11130
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 講師 (10457624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 准教授 (00423715)
柴田 洋孝 大分大学, 医学部, 教授 (20245484)
加隈 哲也 大分大学, 保健管理センター, 准教授 (80343359)
岡本 光弘 大分大学, 医学部, 助教 (80774546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | サルコペニア / 炎症 / 小腸 |
Outline of Annual Research Achievements |
雄ラットに通常餌(脂肪成分20%)または高脂肪餌(脂肪成分60%)を3ヶ月摂取させ、通常餌群と高脂肪餌群に分ける。また、各群をヨーグルト群(通常食および高脂肪食に3%ヨーグルトパウダーを添加)とコントロール群に分ける。従って、通常食+コントロール群、通常食+ヨーグルト群、高脂肪食+コントロール群、高脂肪食+ヨーグルト群を作成する。腸内細菌叢の検討を行ったところ、高脂肪餌によっていわゆる“悪玉菌”が有意に増加したが、その変化はヨーグルトパウダーの添加により改善した。また、末梢血のエンドトキシンであるlipopolysaccharide (LPS)濃度を測定したところ、高脂肪餌の投与によりLPS濃度が上昇したが、その増加はヨーグルトパウダーの添加により抑制された。このような結果から考慮すると、高脂肪餌による末梢血LPS濃度の増加が、悪玉菌の増加に伴うものではなく、小腸での腸粘膜バリアの破綻により、腸内細菌で合成されたLPSが過剰に放出している可能性がある。 1)小腸内の炎症性サイトカインであるtumor-necrotizing factor (TNF)-alphaおよび抗炎症性サイトカインであるinterleukin (IL)-10発現、さらにTNF-alpha/IL-10を評価する。 2)小腸内における炎症性マクロファージ(M1)浸潤を組織学的に評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小腸内の炎症性変化の検討を行ったところ、高脂肪食によって炎症性サイトカインであるTNF-alphaおよび抗炎症性サイトカインであるIL-10の増加がみられた。しかしながら、TNF-alpha/IL-10をみると通常食よりも上昇しており、高脂肪食によって小腸内の炎症性変化が促進されていることを意味している。さらにこのような変化は、ヨーグルトパウダーの摂取によって抑制された。また、炎症性マクロファージ(M1)の小腸内浸潤を検討したところ、高脂肪餌の投与によりM1浸潤が亢進したが、その増加はヨーグルトパウダーの添加により抑制された。以上より、高脂肪餌の摂取が小腸内炎症性変化を促進させたことが示唆され、これまでのところ概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪餌による末梢血LPS濃度の増加が、悪玉菌の増加に伴うものではなく、小腸での腸粘膜バリアの破綻により、腸内細菌で合成されたLPSが過剰に放出している可能性がある。このような腸粘膜バリアの破綻には、腸管の炎症性変化が関与していることが知られている。今回、高脂肪食の摂取が小腸内炎症性変化をもたらし、ヨーグルトパウダーがこのような変化を抑制させることが認められた。したがって、今後の研究として 1)大腿筋(骨格筋)を用いて、TNF-alphaやIL-10発現、TNF-alpha/IL-10の評価を行う。 2)骨格筋内のM1浸潤を組織学的に評価する。
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