生活習慣病の発症に対する肝内脂肪蓄積の直接的影響とそのメカニズムに関する検討

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 18K11132
• Research Institution: Osaka City University
• Principal Investigator: 福本 真也 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (90381996)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 肝内脂肪量 / 内臓脂肪 / 2型糖尿病 / 非アルコール性脂肪性肝疾患 / キサンチン酸化還元酵素

Outline of Annual Research Achievements

2018年度は主に非アルコール性脂肪性肝疾患（NAFLD）あるいは肝内脂肪蓄積量と2型糖尿病（T2DM)との直接的関係について検討を開始した。NAFLDはT2DM発症の危険因子と考えられているが、直接的な関連は明らかでない。我々は定量的な肝内脂肪蓄積度（CAP値）を用い、肝内脂肪蓄積がT2DMの併存や発症におよぼすリスクについて検討した。対象は当院健診センターでCAP値と内臓脂肪面積（VFA）を同時に測定した者の内、アルコール多飲者を除いた健診受診者である。T2DM発症リスクに対する検討では更にT2DM患者も除外した。CAP値はFibroScanで計測。T2DM発症高リスク群は既報のリスクスコアに基づき3年以内の発症確率33～54％の群として設定。DM併存と高発症リスク群に対する危険因子を多変量ロジスティック解析にて検討した。それぞれに対してCAP値とVFAを同一解析モデル内で検討するとVFAのみが有意なリスク因子となりCAP値の影響は消失した。このことからT2DMの併存や発症リスクとNAFLDとの関連は直接的でなくVF蓄積を介したものと考えられた。また、T2D併存に対するCAP値やNAFLDの関係を、内臓肥満の有無に分けて多変量ロジスティック解析にて検討した。非内臓肥満者では33.7％がNAFLDであったが、CAP値やNAFLDはT2Dとの有意な関連を認めなかった。内臓肥満者ではCAP値10 dB/m上昇毎にT2Dリスクが12.7％上昇し、NAFLDでは非NAFLDに比べリスクが5.2倍高値であった。このことから肝内脂肪蓄積は内臓脂肪蓄積との相互作用を介してT2Dに関連する可能性が考えられた。
また2018年度では、NAFLDがT2DMを発症させる原因物質の候補の1つである血漿中キサンチン酸化還元酵素（XOR）活性の測定を開始し、部分的な解析も開始した。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画に記載したタイムスケジュールにほぼ沿った進捗である。

Strategy for Future Research Activity

2018年度から測定を開始したXOR活性データを用いて、NAFLDがT2DMを発症させる機序の1つとしてXORの関与について検討する。
また、健診レジストリに2015－2016年度にエントリーした研究対象者の3年後フォローアップデータを2019年度に回収し、データクリーニングの後、縦断研究の解析を開始する。

Causes of Carryover

人件費について、2018年度後半から研究補助員を雇用する予定であったが、適切な人材が見つからず、人件費を次年度に繰り越した。物品費についても、2018年から開始した血漿中キサンチン酸化還元酵素（XOR）活性の測定費を予算に入れていたが、研究室の別経費で測定できることになり、他の物質測定のために次年度へ繰り越した。

Research Products

• [Presentation] 肝内脂肪蓄積は内臓肥満者でのみ2型糖尿病と関連する (2019)
  • Author(s): 福本真也、絵本正憲、森岡与明、森川浩安、木村達郎、中野朱美、大谷恒史、田内幸枝、上村理沙、河田則文、稲葉 雅章
  • Organizer: 日本総合健診医学会第47回大会
• [Presentation] 血漿中キサンチン酸化還元酵素活性は血清尿酸値と独立して関連する (2019)
  • Author(s): 藏城 雅文, 福本 真也, 村瀬 貴代, 中村 敬志, 石原 拓磨, 郷 洋文, 山本 紘司, 仲谷 慎也, 津田 昌宏, 森岡 与明, 森 克仁, 今西 康雄, 絵本 正憲, 稲葉 雅章
  • Organizer: 第52回日本痛風・核酸代謝学会総会
• [Presentation] キサンチン酸化還元酵素活性と血圧の関連 (2019)
  • Author(s): 吉田 潮, 藏城 雅文, 福本 真也, 村瀬 貴代, 中村 敬志, 仲谷 慎也, 津田 昌宏, 森岡 与明, 森 克仁, 今西 康雄, 絵本 正憲, 稲葉 雅章
  • Organizer: 第52回日本痛風・核酸代謝学会総会
• [Presentation] Nonalcoholic Fatty Liver Disease Is Associated with Type 2 Diabetes Mellitus Only in Individuals with Visceral Obesity. (2018)
  • Author(s): Fukumoto S, Emoto M, Motoyama K, Morioka T, Shoji T, Kawada N, Hirata K, Inaba M.
  • Organizer: American Diabetes Association 78th Scientific Sessions.
  • Int'l Joint Research
• [Presentation] 非アルコール性脂肪性肝疾患は内臓肥満者でのみ2型糖尿病と関連する (2018)
  • Author(s): 福本真也、絵本正憲、元山宏華、森岡与明、森克仁、庄司哲雄、河田則文、平田一人、稲葉雅章
  • Organizer: 第61回日本糖尿病学会年次学術集会
• [Presentation] 男性人間ドック受診者において糖代謝はキサンチン酸化還元酵素活性と関連する (2018)
  • Author(s): 藏城雅文、福本真也、永田友貴、仲谷慎也、津田昌宏、森岡与明、山田真介、森克仁、今西康雄、絵本正憲、平田一人、村瀬貴代、中村敬志、稲葉雅章
  • Organizer: 第61回日本糖尿病学会年次学術集会
• [Presentation] 人間ドック受診者におけるキサンチン酸化還元酵素活性と糖代謝との関連 (2018)
  • Author(s): 藏城雅文、福本真也、永田友貴、仲谷慎也、津田昌宏、元山宏華、森岡与明、山田真介、森克仁、今西康雄、絵本正憲、平田一人、村瀬 貴代、中村敬志、稲葉雅章
  • Organizer: 第51回日本痛風・核酸代謝学会総会
• [Presentation] キサンチン酸化還元酵素活性と糖代謝との関連：人間ドック受診者における検討 (2018)
  • Author(s): 藏城雅文、福本真也、永田友貴、仲谷慎也、津田昌宏、元山宏華、森岡与明、山田真介、森克仁、今西康雄、絵本正憲、平田一人、村瀬貴代、中村敬志、稲葉雅章
  • Organizer: 第91回日本内分泌学会学術総会
• [Presentation] インスリン抵抗性は、内臓脂肪面積と独立して、キサンチン酸化還元酵素活性と関連する (2018)
  • Author(s): 藏城雅文、福本真也、村瀬貴代、中村敬志、石原拓磨、郷洋文、山本紘司、森岡与明、森克仁、今西康雄、絵本正憲、平田一人、稲葉雅章
  • Organizer: 第39回日本肥満学会