2018 Fiscal Year Research-status Report
Influence of infant from diabetic mothers on cranial nerve function
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18K11136
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
河原田 律子 (那須律子) 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 講師 (60383147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 彰男 実践女子大学, 生活科学部, 教授 (30282388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病妊娠 / 胎児 / 脳神経 / 糖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究では、糖尿病妊娠モデルラットを用いて、生まれた仔の心臓への影響を検討してきた。その結果、子宮内で高血糖状態に曝された仔ラットは、出生後は血糖値が正常であるものの、心臓においてはタンパク質が過度に糖化されることで産生されるAGEsが慢性炎症を惹起し、インスリン抵抗性が引き起こされることを明らかにした。一方、タンパク質が過度の糖化は、糖尿病だけでなく、心血管病やがん、不妊症、アルツハイマー型認知症などの多様な疾患と関与することが報告されている。そこで、私達は糖尿病妊娠モデルラットを用いて、子宮内高血糖が胎児脳の神経細胞においてどのような影響を及ぼすかを分子レベルで検討した。 妊娠2日目のラットにストレプトゾトシンを投与することで糖尿病妊娠ラットを作成し、妊娠17日目に胎児を取り出し、摘出した脳について解析した。糖尿病妊娠ラットから生まれた仔の大脳皮質ではコントロールラットから生まれた仔と比較してタンパク質のAGEs化が促進し、Akt473のリン酸化レベルが低下していることが明らかとなった。初代グリア細胞においてもIDMでタンパク質のAGEs化が促進していることが明らかになった。 子宮内が高血糖環境に曝されることで、脳の発生段階で、神経細胞内のタンパク質が過度にAGEs化されることにより、産まれてきた仔の神経系にネガティブな影響を及ぼす可能性が考えられた。今後は、新生児脳についても同様に検討を行い、糖化によるアポトーシス解析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖尿病モデルラットの胎児脳から単離培養した細胞の検討に、時間がかかり予定より少し遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
胎児脳においてシグナル伝達の異常とタンパク質の過度のAGEs化が惹起されている事を明らかにした。老化や糖尿病に伴うAGEs化惹起は、細胞内蛋白の蓄積あるいは炎症反応を通して神経変性疾患を引き起こすと考えられている。そこで、このモデル動物を用いて、子宮内高血糖が生まれてきた子の将来の脳神経疾患に及ぼす影響の研究に発展させる。 2019年度は、① 形態学的観察:神経形成評価に関してBrdU の取り込みの実験を行う。樹状突起スパイン密度をゴルジ-コックス染色で測定する。また、TUNEL 法を用いたアポトーシス解析を行う。② 生化学的解析:エネルギー代謝に関わるシグナル伝達系(AktやAMPK関連シグナル )と炎症系(MAP関連シグナル)の特異的抗体およびタンパク質の糖化(AGEs 化)を評価する抗AGEs 抗体を用いてウェスタンブロット法にて調べる。神経形成は抗ニューロフィラメント抗体で、神経可塑性プロセスに障害があるかを興奮性シナプスの足場蛋白質であるPSD95 とそれをパルミトイル化するDHHC2 の抗体にて評価する。
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Causes of Carryover |
予定していた動物実験が予定より時間がかかり、2019年度も引き続き検討を行う。妊娠ラットの購入費やグリア細胞を用いた解析に使用する試薬や消耗品の購入に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)