2020 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖に着目した肥満予防・改善策の探索~肥満により変化する糖鎖の解析~
Project/Area Number |
18K11138
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
蕪木 智子 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40339479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日野 るみ 大東文化大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60451770)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖鎖 / シアル酸 / st6gal1 / 肥満モデルマウス / 脂肪細胞 / 3T3-L1細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脂肪細胞機能における糖鎖の役割を、特に肥満による変化に着目し解析を行っている。 H30年度~H31年度において、肥満マウス脂肪組織において糖転移酵素St6gal1(糖鎖末端にα2,6シアル酸を付加する酵素)の著しい低下を確認した。さらに脂肪細胞では インテグリンβ1で肥満によりα2,6シアル酸付加が低下することで、脂肪細胞の肥大が起こることを明らかにした。さらに、肥満マウスの脂肪細胞におけるるSt6gal1の減少はDNAメチル化によること、3T3-L1細胞を用いたSt6gal1の過剰発現により、脂肪細胞の分化・肥大抑制が起こった。一方で、3T3-L1細胞培養時に培地にシアル酸添加を行うと、脂肪細胞の脂肪蓄積が増大した。この機序解明を進めるため本年度は以下の研究を行った。 ①3T3-L1細胞を用いて、培養時に培地にシアル酸を添加した際に、脂肪細胞の肥大が認められた。この結果は、予想に反した大変興味深い結果となった。その機序解明のため、シアル酸添加後14日培養後の脂肪細胞について、遺伝子発現量の網羅的解析を行ったが、St6gal1や脂質合成関連遺伝子など含め、シアル酸添加による有意な変化が見られなかった。同様の細胞について、シアル酸付加タンパク質量変化についても、SSAレクチン、MAMレクチンを用いてウエスタンブロット法にて検討したが、こちらもシアル酸添加による変化が見られなかった。②肥満モデルマウスにシアル酸を投与したが、ばらつきが大きく有意な結果が得られなかった。よって、次年度は3T3-L1細胞を用いて、シアル酸添加による脂肪蓄積量増大の機序解明と共に、再度動物モデルを用いた投与実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までは、肥満による糖鎖が検出されたことで、計画以上に研究が進行していたが、今年度は、シアル酸添加による3T3-L1細胞の肥大誘導の機序解明に向けて、遺伝子解析、シアル酸付加タンパク質量などを測定したが、すべて有意な変化見られなかったことで、あまり研究が進まず、当初の予定通りのスケジュールとなっている。 また、肥満誘導マウスへのシアル酸投与について、個体差が大きく出たため再実験を行う計画が、コロナウイルス感染症拡大による動物実験の制限があったことが影響し進められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は3T3-L1細胞を用いて、シアル酸の添加による脂肪蓄積量増大の機序解明として、 ①脂肪細胞分化初期の遺伝子発現量およびシアル酸付加タンパク質発現量の解析 ②肥満マウスを用いたシアル酸の投与実験を再度行う予定である。 肥満マウスにおいて、どのような結果が得られるかは未知であるが、肝臓、骨格筋、精巣上体周囲脂肪、についてシアル酸付加タンパク質やエネルギー代謝関連遺伝子発現量の変化を解析することで、明らかになることがあると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症拡大による、動物実験の制限や、大学における研究室使用の制限などが影響した。
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