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2020 Fiscal Year Research-status Report

高齢者の介護・生活習慣病予防に及ぼす複合運動療法の質的条件に関する検討

Research Project

Project/Area Number 18K11144
Research InstitutionDoshisha University

Principal Investigator

柳田 昌彦  同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (40251128)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 若原 卓  同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (20508288)
Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywords複合運動療法 / 順序性 / 地域在住高齢者 / 無作為化比較試験 / 動脈スティフネス / 1RM / 生活体力
Outline of Annual Research Achievements

本研究では,地域在住の高齢者を対象に,有酸素運動とレジスタンス運動の複合運動療法における順序性が,肥満度,動脈スティフネス,骨格筋量,筋力,生活体力などに及ぼす影響について無作為化比較試験を用いて検討し,高齢者の介護予防・改善に効果的な運動処方プログラムの開発を研究目的とした。
昨年度に,女性高齢者を対象として複合運動療法における順序性やレジスタンス運動の強度の違いが,形態や動脈スティフネス(心臓足首血管指数:CAVI),生活体力,骨格筋機能などに及ぼす影響について無作為化比較試験を用いて検討した結果,順序性が形態や動脈スティフネス,生活体力に違いを引き起こさないが,レジスタンス運動における強度の違いが生活体力の動的バランスに異なる影響を与える可能性が示唆された。
しかし,それらのメカニズムについては十分に検証できていなかったために,脈波伝播速度に関わる指標としては血流依存性血管拡張反応(FMD検査)と血中の一酸化窒素(NO)やエンドセリンなどを測定し,筋肥厚に関わる指標としては血中の乳酸,成長ホルモン,テストステロンなどを測定する予定であった。また,1年目(一昨年度)に男性を対象とした際の動脈スティフネスの指標としてcfPWVを用いた場合には順序性による違いが引き起こされたが,女性を対象とした際に用いたCAVIでは,トレーニングのプロトコールを同様に実施したにも関わらず順序性による違いが見られなかったことから,この原因が性差によるものなのか,指標(検査方法)の違いによるものなのかが不明で,新たな課題として表出した。
そこで,今年度についてはこれらの点を解明するために実施計画を立てたのだが,新型コロナウイルス感染症の拡大によって高齢者を対象とした介入研究を実施することが不可能な状況となり,全く検討できなかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

地域在住の高齢者を対象にして,有酸素運動とレジスタンス運動の複合運動療法における順序性が,肥満度,動脈スティフネス,骨格筋量,筋力,生活体力などに及ぼす影響について無作為化比較試験を用いて検討し,生活習慣病や要介護の予防・改善に効果的な運動処方プログラムの開発を研究目的とした。
有酸素運動は自転車エルゴメータを使用し,60%心拍数予備量の強度で20分間実施させ,レジスタンス運動は5種目を70~80%最大挙上重量(1RM)の強度で,8~12回反復,2~3セットを20分間実施させた。いずれの群も週2回,10週間実施させた。
現在までに,まずは地域在住高齢男性を対象として有酸素運動+レジスタンス運動群(AR群),レジスタンス運動+有酸素運動群(RA群),運動を実施しない群(CON群)の3群に無作為割付けして,形態計測,動脈スティフネス(cfPWV),血流依存性血管拡張反応(FMD),筋肥厚,筋力(1RM),生活体力を測定した。その結果,いずれの運動群でも体脂肪率と腹囲が有意に低下し,生活体力(握力,10m歩行速度,FRT,長座体前屈),1RM,筋肥厚が有意に向上した。cfPWVはRA群のみ有意に低下し,FMDはRA群で顕著に上昇したが有意ではなかったことから,複合運動療法における順序性が動脈スティフネスに異なる影響を与える可能性が示唆された。
次に,高齢女性を対象として複合運動療法の効果における性差とレジスタンス運動の強度の違い(低強度群(40~50%1RM)を追加)について検討した結果,順序性が形態や体力,動脈スティフネスに違いを引き起こさないが,レジスタンス運動における強度の違いが生活体力の動的バランスに異なる影響を与える可能性が示唆された。
しかし,複合運動療法の順序性やレジスタンス運動の強度の違いが引き起こす影響差に関わるメカニズム等については,まだ十分な検討ができていない。

Strategy for Future Research Activity

本研究費の申請を行った時点では,3年目の検討課題として以下の内容を記載した。
【課題3】3年目は,2年目と同様の課題について女性高齢者を対象に検討する。
2年目に,既に女性高齢者を対象に複合運動療法におけるレジスタンス運動の強度の違いが動脈スティフネスや骨格筋機能などに及ぼす影響について無作為化比較試験を用いて検討したが,まだそれらのメカニズムについては十分に検証できていない。1年目と2年目とで,複合運動療法の順序性が動脈スティフネスに及ぼす影響を検討したが,被験者数による測定時間の都合で異なる検査方法を用いたため,異なる結果が性差によるものなのか,検査方法の違いによるものなのかが明確になっていない。したがって,今後は女性を対象として,動脈スティフネスを評価する検査法を3種類(cf-PWV,ba-PWV,CAVI)用いて同時に検討する予定である。また,メカニズムについては,脈波伝播速度に関わる指標としては血流依存性血管拡張反応(FMD)と血中の一酸化窒素(NO)やエンドセリンなどを測定する。筋肥厚に関わる指標としては血中の乳酸,成長ホルモン,テストステロンなどを測定する。測定項目が多岐にわたっているため,同時点に複数の項目を測定することになるが,もし精度の高いデータを得られにくい場合には,測定項目の選定やタイムテーブルを改善する予定である。
申請書の中では運動療法の種目として対象に入れていなかったが,動脈スティフネスに対してストレッチングのような柔軟性を高める運動が有効であるとのエビデンスが明らかになっている。そこで,本研究でも高齢者の動脈スティフネスと柔軟性の指標である長座体前屈の関連性について,横断的及び縦断的に解析を追加する予定である。
以上の高齢者を対象とした介入研究が,3年目には新型コロナウイルス感染症拡大のために実施できなかったために,期間を延長して実施する。

Causes of Carryover

当初の支出計画では,2年目と3年目に国際学会へ参加して成果を報告する予定であったが,2年目は学部・研究科の管理責任者という立場のため,また3年目は新型コロナウイルス感染症拡大のために予算執行できなかった。また,「超音波診断装置用消耗品」や「血圧脈波検査装置用消耗品」,「体力測定用消耗品」,人件費,謝金についても,新型コロナウイルス感染症によって高齢者を対象とした介入研究が実施できなかったために予算執行できなかった。
「血液検査用消耗品」や「血液成分分析キット」,「血液成分の分析委託」については,1年目の実験において被験者から血液を採取したが,時間的に血液サンプルの分析まで手が回らず,元々,メカニズムに係る一酸化窒素(NO)やエンドセリン,乳酸,成長ホルモン,テストステロンなどを分析するのは平成31年度に計画していたので,次年度に本格的に着手するつもりである。

  • Research Products

    (7 results)

All 2020

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Exercise Habits Are Associated with Improved Long-Term Mortality Risks in the Nationwide General Japanese Population: A 20-Year Follow-Up of the NIPPON DATA90 Study2020

    • Author(s)
      Takatsuji Y, Ishiguro A, Asayama K, Ohkubo T, Miura K, Kadota A, Yanagita M, Fujiyoshi A, Arima H, Miyagawa N,Takashima N, Kita Y, Hayakawa T, Kikuya M, Nakamura Y, Okayama A , Okamura T, Ueshima H, NIPPON DATA90 Research Group
    • Journal Title

      The Tohoku Journal of Experimental Medicine

      Volume: 252(3) Pages: 253- 262

    • DOI

      10.1620/tjem.252.253

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] A U-shaped relationship between the prevalence of frailty and body mass index in community-dwelling Japanese older adults: The Kyoto-Kameoka Study2020

    • Author(s)
      Watanabe D, Yoshida T, Watanabe Y, Yamada Y, Kimura M, and Kyoto-Kameoka Study Group
    • Journal Title

      J Clin Med

      Volume: 9(5), Pages: 1367

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 地域在住高齢者の日常の歩数と下肢骨格筋の量および質,運動機能との関連2020

    • Author(s)
      渡邊裕也, 山田陽介, 吉田司, 横山慶一, 山縣恵美, 吉中康子, 岡山寧子, 木村みさか
    • Journal Title

      同志社スポーツ健康科学

      Volume: 12 Pages: 29-36

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 自立高齢者と要支援・要介護認定高齢者における下肢骨格筋の量, 質, 運動機能の比較2020

    • Author(s)
      渡邊裕也, 山縣恵美, 木村みさか
    • Journal Title

      応用老年学

      Volume: 14(1) Pages: 58-68

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 特別企画3「運動療法の話題~Exercise is medicine,その理論と実践~」糖尿病治療におけるレジスタンス運動の効果と実際~個人から集団までの予防的実践法の確立を目指して~2020

    • Author(s)
      栁田昌彦
    • Organizer
      第54回糖尿病学の進歩
    • Invited
  • [Presentation] 地域在住高齢男性を対象とした有酸素運動とレジスタンス運動の複合トレーニングにおける順序性が動脈スティフネスに及ぼす影響2020

    • Author(s)
      栁田昌彦, 塩津陽子, 炭本祐佳
    • Organizer
      第56回日本循環器病予防学会学術集会
  • [Presentation] 地域在住高齢者を対象としたフレイルの有病率とbody mass indexとのU字型の関連:Kyoto-Kameoka Study2020

    • Author(s)
      渡邉大輝, 吉田司, 渡邊裕也, 山田陽介, 木村みさか
    • Organizer
      第67回日本栄養改善学会学術総会

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Published: 2021-12-27  

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