2020 Fiscal Year Research-status Report
Psychosomatic effects by the appropriate lightening
Project/Area Number |
18K11145
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
福永 幹彦 関西医科大学, 医学部, 教授 (90257949)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 哲也 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20411506)
神原 憲治 香川大学, 医学部, 教授 (90440990)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 光暴露 / 心身症 / QOL / 自律神経機能 / 身体症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度までに、光暴露介入研究実施前のパイロット研究として、通常入院生活における光暴露量と自律神経機能の相関につき、入院期間中持続的に装着したアクチグラフのデータを用いて検討したところ、両者間の相関は見られないという結論となった。 このため、2020年実施予定の光源を用いた光暴露介入研究を実施するための根拠が不十分となったため、介入研究は行わず、心身症患者への光暴露量による影響を自律神経機能以外に、身体的QOL (SF-8:PCS)、精神的QOL (SF-8:MCS)、身体症状の程度 (SSS-8)を用いて検討した。測定装置はアクチグラフを用いて、活動量、光照射量、1000Lux以上の強光暴露時間を入院中持続計測した。入院時と退院時にQOL調査票SF-8、身体症状の種類と程度の指標としてSSS-8を実施した。 これらの測定結果に対して相関分析を行った。入院時の症状の強さが、入院中の改善度に大きな影響を与えていると考えられたため、制御変数に入院時のSSS-8総得点を用い、編相関分析を行った。 結果、入院中の身体的QOLが強光暴露時間と有意な相関(PCS 相関係数0.763、有意確率0.028)を示した。精神的QOLについては統計的に有意ではなかった(MCS 相関係数-0.702、有意確率0.052)ものの強光暴露時間と逆相関の傾向が見られた。身体症状の程度の指標となるSSS-8の変化量とは全く相関が見られなかった(ΔSSS-8 相関係数-0.038、有意確率0.929)。 なお光暴露以外の有力な生活行動指標である入院中の活動量については、光照射量、強光暴露時間とは相関なく、またQOLや身体症状改善とも相関が見られなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年同様、当科の心身症入院患者は、慢性疼痛または消化管機能疾患から社会機能に問題を生じた患者がほとんどであり、研究協力を得ることが推定していたより困難であった。これまで研究にエントリーできた患者は19名である。さらに4月よりCOVID-19による不安があり、入院中に入院目的以外の研究協力という余計な負担はかけづらい状況となっている。2020年度当初、院内廊下散歩と屋外日光下散歩の二条件で介入研究を行う予定であったが、社会情勢から介入研究は中止することとし、2019年度解析に使用していないデータを詳細に検討することとした。結果として、2019年示したとおり、心身症患者では光照射量と自律神経機能改善に相関は見られなかったが、身体的QOLと有意な相関が見られ、有力な指標であることが判明した。また患者の病態に影響があると考えられた活動量は、いかなる指標の改善にも影響を与えていないことが判明した。
|
Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の終息はまだ見通せないという社会的状況の中で、次段階の研究では当初予定の光照射装置による照射介入研究という方法は修正が必要となっている。研究協力することが、患者にとって負担にならないよう、特別な時間を設けての光照射介入ではなく、院内屋外スペースでの散策による光暴露という方法を用いることとした。介入前後で機器を用いた照射では10分程度で有効とのことであったが、屋外日光暴露と室内光暴露の差で検討するため、暴露時間は屋外遊歩道散策20分とする。 また研究協力を推進するため、研究協力者には図書カードによる謝礼を予定している。
|
Causes of Carryover |
COVID-19感染症の世界的拡大により、発表予定の国際学会、国内学会のほとんどが中止となり、成果発表のための学会参加費及び旅費の支出が全くなかった。さらに入院患者への光照射機器を用いた介入研究が、入院目的以外の研究への参加は患者にとって負担となるため、実施困難となっている。 COVID-19感染症が研究終了まで持続するようであれば、研究に必要な費用は、旅費を中心に当初予定を下回る可能性が高い。その場合は返還する予定である。
|
Research Products
(1 results)