2019 Fiscal Year Research-status Report
Algorithms for Constraint Satisfaction Problems: Deepening and New Directions
Project/Area Number |
18K11164
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
玉置 卓 兵庫県立大学, 社会情報科学部, 准教授 (40432413)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 厳密アルゴリズム / 近似アルゴリズム / 計算困難 / 制約充足問題 / 充足可能性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下では, 成果のひとつである量子超越性について述べる. 量子計算が古典計算よりも高速であることの理論的な証拠として, (1) 具体的な問題に対して古典アルゴリズムよりも高速な量子アルゴリズムが存在, (2) 限定された計算モデルでの計算時間のギャップ, (3) 計算複雑性における仮定のもとでの計算時間のギャップ, などがある. 本研究では(3)のアプローチをとる. いくつかの非万能量子計算モデルの出力確率分布は, 多項式時間階層の崩壊のような計算複雑性理論でありえなさそうな結果が起こらない限り, 古典的に効率よくにサンプリングされることはない. このようないわゆる量子超越性と呼ばれる結果は、わずかに超多項式である計算時間での古典シミュレーションを除外するものではない. 本研究では「fine-grained版」の量子超越性について研究し, 準指数時間での古典シミュレーション可能性を除外する. 我々は2つの非万能量子計算モデル, DQC1とHC1Qモデルに着目し, fine-grainedな計算複雑性におけるある仮説のもとで, これらのモデルの出力確率分布を乗法的誤りについて近似するには, 古典計算ではほぼ2^N時間必要であることを示した. ここでNはqビットの数である.また, 万能量子計算を行えるモデルも考え, 例えばクリフォードゲートとTゲートの上での量子計算であれば出力確率分布を乗法的誤りについて近似するには, 古典計算では2^{Omega(t)}時間が必要であることを別のfine-grainedな仮説のもとで示した. ここでtはTゲートの個数である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べた成果はQuantum Inf. Comput.誌から出版されている. それ以外にも制約充足問題に対する厳密アルゴリズムに関する成果がJCSS誌から出版され, グラフ問題に対する固定パラメータアルゴリズムに関する成果が国際会議IWOCAで発表されている. また2件の成果について論文が投稿済みである.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き制約充足問題の種々のクラスに対する効率の良いアルゴリズムの設計と解析および計算困難性の証明に取り組む. 研究実績の概要および現在までの進捗状況で述べた以外にも制約充足問題に対する厳密アルゴリズムに関する成果を2件得ている. これらを速やかに論文にまとめて投稿する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症流行の影響等で出張が取り止めになったため。 可能であれば出張を再スケジュールして使用する。
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