2021 Fiscal Year Research-status Report
Algorithms for Constraint Satisfaction Problems: Deepening and New Directions
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18K11164
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
玉置 卓 兵庫県立大学, 社会情報科学部, 准教授 (40432413)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 厳密アルゴリズム / 近似アルゴリズム / 計算困難 / 充足可能性問題 / 制約充足問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子計算機はいくつかの計算課題において現行方式の計算機 (いわゆる古典計算機) よりも圧倒的に高速であると考えられている。量子回路の出力に対応する確率分布からサンプリングする問題はそのような計算課題の1つである。この問題は (理想的なノイズのない) 量子計算機であれば自明に解ける。一方、この問題を古典計算機が高速に解くことができれば「多項式時間階層の崩壊」のような計算理論的に奇妙な帰結が得られる。なお、2019年にGoogleが発表した「量子超越性」の実験はこの問題に関するものである。本研究では、量子超越性と制約充足問題に深い関係があることに着目して (1) 制約充足問題の困難性に基づく量子超越性のさらなる探求、(2) 制約充足問題に対する量子アルゴリズムの開発、(3) 量子版制約充足問題に対する古典/量子アルゴリズムの開発、などの研究を行った。 (2) について、制約充足問題に対するアルゴリズムで、多項式時間で指数的に低い確率で解を発見するものについては、量子計算で2乗の計算時間加速が達成可能であることが知られている。我々は異なる設計思想に基づくアルゴリズムについて量子計算で計算時間加速が可能であるか検討した。答えは肯定的であるということを示す証明方針が得られている。 (3) について量子版制約充足問題である局所ハミルトニアン問題に対する古典アルゴリズムの設計と解析を行った。このアルゴリズムは指数時間、多項式領域の計算量を持つ。自明なアルゴリズムは指数時間、指数領域であることから、領域計算量が改良されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時に本研究課題の特色として挙げていた、従来とは全く異なるアルゴリズム設計・解析の技法開発について、量子計算に触発された計算技法という成果が得られた。また、数え上げ問題に対する包除原理を加速する方法として充足可能性問題に対するアルゴリズムが有用であることを見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
量子超越性と制約充足問題に深い関係があることに着目して (1) 制約充足問題の困難性に基づく量子超越性のさらなる探求、(2) 制約充足問題に対する量子アルゴリズムの開発、(3) 量子版制約充足問題に対する古典/量子アルゴリズムの開発、などの研究を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の流行の影響で旅費の使用が2年間以上滞っていることから次年度使用額が生じた。徐々に海外出張が可能になると思われるので、国際会議における成果発表、情報収集などに活用する。
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