2022 Fiscal Year Annual Research Report
Algorithms for Constraint Satisfaction Problems: Deepening and New Directions
Project/Area Number |
18K11164
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
玉置 卓 兵庫県立大学, 社会情報科学部, 准教授 (40432413)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 厳密アルゴリズム / 近似アルゴリズム / 計算困難 / 制約充足問題 / 充足可能性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
制約充足問題は様々な分野に現れる普遍的な組合せ問題である. 制約充足問題は, その表現能力によって様々な問題のクラスに分類することができる. 線形計画法や和積形論理式の充足可能性問題 (SAT)はそのようなクラスの例である. 本課題では「どのクラスに対して効率の良いアルゴリズムが存在するか」という, アルゴリズム理論・計算理論における基本的な疑問の解決を目指す. 具体的には, 制約充足問題の種々のクラスに対する (1) 効率の良いアルゴリズムの設計と解析, および (2) 計算困難性の証明, に取り組み, それらの帰結として疑問の解決に接近する. 以下に本年度の主要な成果を述べる. 回路の充足可能性問題とは入力として(組合せ)論理回路が与えられた時に回路が真を出力するような変数への真偽値割当が存在するかどうかを判定する問題である. この問題は代表的なNP困難問題であり入力サイズの多項式の時間で解くことができないと信じられている. さらに入力として与えられる回路に制限がない場合は総当たり探索より高速なアルゴリズムが知られていない. 本研究では線形しきい値関数を素子とする論理回路を扱い, 素子数が cn, c>0はある定数, nは論理変数の個数, の場合に総当たり探索より高速なアルゴリズムを開発した. また, アルゴリズムの計算時間解析の副産物として, 計算複雑性理論における下界証明の結果を得ることができた. これは同様の論理回路で素子数が c' n, c'>0はある定数, の場合にある明示的な関数を平均的にすら計算できないというものである.
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