2018 Fiscal Year Research-status Report
Combinatorial generation with fixed-parameter tractable preprocessing
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18K11174
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
玉木 久夫 明治大学, 理工学部, 専任教授 (20111354)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 木分解 / 厳密アルゴリズム / 極小セパレータ / 列挙 / 潜在極大クリーク / 動的計画法 |
Outline of Annual Research Achievements |
固定パラメータ列挙の基礎となる木幅アルゴリズムの開発に努力を集中し、大きな成果を挙げた。 グラフの木幅を求める厳密アルゴリズムで従来の実用最速アルゴリズムは、研究代表者によるPID法であったが、これを大きく上回る性能を持つ実用アルゴリズムを開発した。PID法も新アルゴリズムもどちらもBouchitteとTodincaの動的計画法(BT法)に基づいている。本来のBT法は、本処理の前に極小セパレータと潜在極大クリークの列挙を必要とする。PID法は、前もってこの列挙を行うことをせず、動的計画法の本処理のなかで必要になった極小セパレータと潜在極大クリークを構築して行く。新アルゴリズムは、極小セパレータのみ、その列挙を前もって行い、本処理のなかで必要な潜在極大クリークを(暗黙に)生成して行く。この方法で必要な極小セパレータの列挙(正確には要素数の上限を指定した時の極小セパレータの列挙)についても、実用的な性能のすぐれた新しいアルゴリズムを開発した。ランダムなグラフで比較した場合、解くことのできるグラフの規模がPID法では70頂点程度だったのに対し、新アルゴリズムでは90頂点程度まで扱えるようになった。これまで真の木幅が知られていなかった標準的なベンチマークインスタンスのいくつかについて、木幅を計算することにも成功している。 この研究の途中経過は、2018年9月にアイントホーフェンで開催されたNWO-JSPS joint seminar: "Computations on Networks with a Tree-Structureにおいて基調講演として報告され、最終的な結果は2019年6月に開催される国際会議Special Event on Analysis of Experimental Algorithms において発表される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画された木幅をパラメータとする固定パラメータ時間の前処理による組み合わせ構造の列挙そのものについての研究は一時中断している。しかしながら、そのような列挙のアルゴリズムの実際の実行時間は、木幅の計算がいかに効率よく行うことができるかにかかっている。木幅計算のアルゴリズムとして従来法の性能を大きく上回る研究代表者自身の最近の結果をさらに大きく上回る新しいアルゴリズムを開発できたことは、望外の結果と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
木幅アルゴリズムについての研究を継続する。次のふたつの理由から、上界を求めるアルゴリズムに努力を集中する。(1)厳密アルゴリズムのなかで、良い上界を求めるフェーズと、求めた上界が下界と一致することを示すフェーズを分けたほうが良いことがわかってきている。(2)応用上は、必ずしも厳密な木幅が必要ではなく、最適に近い上界で十分な場合も多い。現在、上界のための新しい発見的アプローチに想到し、その研究を進めている。 本題の列挙アルゴリズムについては、結果をまとめた草稿はできており、この草稿を少しずつ厳密化して行く。当初予定した結果を得る上で特段の困難はみつかっていない。
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Causes of Carryover |
結果を国際会議に投稿するタイミングが合わずに、2018年度の会議参加で旅費を消化することができなかった。また、システム開発でアルバイト作業への切り分けができずに人件費の使用ができなかった。2019年度は前年度を上回る研究発表を行い、旅費を消化する。
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