2019 Fiscal Year Research-status Report
Combinatorial generation with fixed-parameter tractable preprocessing
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18K11174
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
玉木 久夫 明治大学, 理工学部, 専任教授 (20111354)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | treewidth / fixed parameter / enumeration / exact algorithm / upper bound |
Outline of Annual Research Achievements |
提案した固定パラメータアルゴリズムの基礎となる、木幅アルゴリズムの開発に努力を傾注した。厳密解アルゴリズムについては、前年度に開発した、極小セパレータの列挙に基づいたアルゴリズムを、2019年6月に開催された国際会議SEA2019で発表した。 2019年4月から2019年10月まで、ユトレヒト大学のHans Bodlaenderのもとで在外研究を行った。この期間のほとんどを、木幅の上界を求めるアルゴリズムの開発に費やした。初期の段階では、HeartBeatと名付けたヒューリスティックを開発し、実装と実験・評価を行った。これは、木幅を改良するために注目するグラフの部分をHeartと呼び、Heartの縮小と膨張を繰り返しなをがら、より良い解を得ていく手法である。既存の手法と比較して、有力であることを確認し、ユトレヒト大学のセミナーで発表した。 その後、さらなる改良を模索するなかで、Bouchitte とTodincaの木幅厳密解アルゴリズム(BT法)を中心に据えた発見的アルゴリズムを開発した。BT法は、与えられたグラフの潜在極大クリークをすべて列挙し、その集合\Piにおいて動的計画法を実行して、グラフの厳密な木幅を求める。\Piをその部分集合で置き換えると、BTの動的計画法は、木幅の上界を求めることになる。そこで、\Piの各部分集合\Lambdaに対して動的計画法によって定まる木幅の上界を、\Lambdaの評価値と考えて、\Lambdaを逐次的に改善して行くことが考えられる。これが、我々の発見的アルゴリズムの基本的な考え方である。このアイディアを実装し、実験によって既存手法を凌駕することを確認して、arXiv論文にまとめた。 また、木幅に関するこれまでの研究から得られた実験的観察を整理し、論文Experimental Analysis of Treewidth として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
列挙アルゴリズムの本体に関しては、いったん研究を保留している。 一方その基礎となる木幅アルゴリズムに関して、次々と新しいアプローチが発見され、本質的な改良を得ている。 特に、BT動的計画法に基づいた木幅上界計算への新しいアプローチは、木幅計算の方法論に革命的な変革をもたらす可能性を持っている。木幅の下界計算とこの上界計算を組み合わせる手法についても、さまざまな試行を行って来た。論文として発表できる形の成果はいまだ出ていないが、有望な方向性をいくつか見出している。今後それらを発展させるなかから、既存の木幅厳密解アルゴリズムと木幅上界アルゴリズムの双方を同時に凌駕するようなアルゴリズムを得ることができる可能性が極めて高い。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、木幅アルゴリズムの本質的な改良を目指す。 上界アルゴリズムと下界アルゴリズムの融合が鍵であると考えている。上界アルゴリズムにおいては、グラフのある部分に着目して、木幅の改良を試みる。これが失敗した場合、この部分は、グラフの木幅が小さいことに対する何等かの障壁を有していることが考えられる。そこで、この部分からブラフのマイナーを作り、マイナーの木幅を厳密計算によって求めれば、それは、全体のグラフの木幅の下界である。この下界が小さい場合、対応するマイナーの木分解によって誘導されるもとのグラフの木分解は、上界にとって良い構造を含んでいるかもしれない。このように、上界計算で遭遇した困難から、下界計算の手がかりを得、逆に下界計算で遭遇した困難から、上界計算の手がかりを得る。従来のように、互いに独立した上界・下界計算に比べて有望なアプローチであると確信している。 実装したアルゴリズムの実験において、木分解を視覚化することの重要性を実感している。グラフ描画のアルゴリズムは多種多数提案されているが、木という特殊な場合を除き、グラフの木分解によって示される構造を視覚化するという研究はこれまでになされていない。そこで、グラフをその木分解に基づいて視覚化するという研究も行って行く。鍵となるのは、木分解の示すセパレータ構造を明示することである。木分解のバッグXを固定して、Xを除いて木を部分木に分けると、Xはグラフ全体の頂点集合を各部分木のバッグの和集合に分けるセパレータになっている。木分解に基づいたグラフ描画は、各バッグXによって分離される頂点集合が描画において幾何学的に分離されているという性質を持つことが望ましい。そのような性質を持つ描画の方法が得られれ、実装と実験を行っている。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際会議への参加ができなくなったことが主な理由である。 今年度についても、オンライン開催の会議が多いが、対面の会議に参加できなかった分、年度末に向けて、海外の研究期間を訪問して直接の議論の機会を確保するようにする。
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Research Products
(4 results)