2019 Fiscal Year Research-status Report
ロバスト非線形整数計画問題に対する離散凸解析アプローチの研究
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18K11177
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩浦 昭義 東京工業大学, 工学院, 教授 (10296882)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離散凸関数 / ロバスト最適化 / 離散最適化 / 離散凸解析 / 整数計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は前年度に引き続き、所与のベクトルからのL1距離が定数以下という条件の下で、M凸関数と呼ばれる離散凸関数を最小にする離散最適化問題の研究に取り組んだ.前年度の結果により、この問題の最適解を求める際に、M凸関数の制約なし最小化問題に対する貪欲アルゴリズムが利用できることが分かっていた。そのアルゴリズムの挙動を解析することにより、M凸関数最小化に対する貪欲アルゴリズムの反復回数が、初期解と最も近い最適解のL1距離(の半分)に等しいことが明らかとなった。つまり、貪欲アルゴリズムが最短経路で最適解を求めることが判明した。アルゴリズムの反復回数に関する同様の結果は、貪欲アルゴリズムの改良版に対しては知られていたものの、オリジナル版に対しては有限回終了以外の結果は知られておらず、大きな発見といえる。 また、本年度はL1距離制約下でのM凸関数最小化、および応用に現れる特殊ケースである、ドック再配分問題に対する高速なアルゴリズムの開発に取り組んだ.とくに,高速化手法としてよく知られる「スケーリング技法」が適用可能かどうか,検討を行った.今回扱っている問題の構造は複雑なため、そのままではスケーリング手法が適用できないが、目的関数の射影を扱うことにより、スケーリング手法の適用が可能となることが分かり、高速化が実現できた。また、特殊ケースであるドック再配分問題に対しては、スケーリング手法を直接適用することに成功し、さらに高速なアルゴリズムを実現することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
昨年度から検討を続けている問題に対して得られた結果から発想を得て、離散凸関数に関する基本的な最適化問題に対して未解決だった課題に対して肯定的な結果を得ることが出来た。この結果をさらに拡張して、より興味深い結果が得られそうな感触をもっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度得られた結果をふまえ、M凸関数およびその一般化に対する貪欲アルゴリズムについて検討を行う。まず、このアルゴリズムに対する前述の結果をより深く理解するために、その反復回数の証明の簡略化に取り組む。また、同様の証明アプローチを用いることにより、一般化されたM凸関数に対する貪欲アルゴリズムについて、同様の結果が得られるかどうか、検討を進める。また、ここで得られた結果を手がかりに、貪欲アルゴリズムのロバスト性についてもさらに検討を進める予定である。とくに、与えられたM凸関数の値にある程度の誤差があるときに、貪欲アルゴリズムによって得られた解の近似精度の保証が可能かどうか、明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、年度末に予定していた幾つかの出張がキャンセルとなったため。来年度についても、新型コロナウィルスの影響がいつまで続くか分からないため、予定を決めることは困難である。
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