2020 Fiscal Year Research-status Report
ロバスト非線形整数計画問題に対する離散凸解析アプローチの研究
Project/Area Number |
18K11177
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塩浦 昭義 東京工業大学, 工学院, 教授 (10296882)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 離散凸関数 / ロバスト最適化 / 離散最適化 / 離散凸解析 / 整数計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ渦で,例年のように国内外の出張が全く出来なくなり,研究計画の大幅な変更を余儀なくされたが,一方で国際会議のほとんどがオンライン開催となり,これまで参加できなかった会議にも参加でき,効率的に情報収集を出来るようになった.また,出張が出来ない分,大学や自宅にてじっくり考える時間を確保することが出来た.これにより研究を進めることができ,様々な成果を得ることが出来た. 具体的な成果としては,まずM凸関数およびその一般化に対する貪欲アルゴリズムについて検討を行った.M凸関数の貪欲アルゴリズムの反復回数が,初期解と最適解のL1距離に一致することが知られているが,この事実に対する簡潔な別証明を与えた.この証明を踏まえ,ジャンプM凸関数というより一般的な離散凸関数に対しても,同様の結果を得ることができた. さらに,関連する問題として,ジャンプシステム上での分離凸関数最小化問題に対する貪欲アルゴリズムの反復回数について,初期解と最適解のL1距離でバウンドできるかどうか,検討を行った.上述の結果と同様の証明を試みたが,解析対象のアルゴリズムにおける解の更新方法が異なることから,同様の結果を得ることが現時点まで出来ていない.一方で検討を重ねるごとに,この問題に対する理解が進み,この問題およびアルゴリズムの本質を理解しつつある. また,複数のM凸関数の最大値を最小にする,という問題についても検討を始めた.この種の問題は近年,計算的社会選択の分野において,不可分財の公平配分という文脈で盛んに研究されているが,既存研究において,与えられた関数が線形という非常に特殊な場合でも一般には計算困難なことが示されている.そのため,解の計算をより容易にしつつ,元の問題の本質を失わないようにする問題設定の修正について検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ渦で予定していた国内外の出張ができず,計画通りには研究を進めることができなかった.その一方で,大学や自宅でじっくり研究課題に取り組む時間を取ることができ,研究をある程度進展させることができた.また,他の研究者との議論も電話やオンライン会議システムを利用することで実現できたとともに,これまで参加できなかった国内外の会議もオンライン開催に変更されたことにより参加可能となり,より多くの情報を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究において得られた幾つかのアイディアをふまえ,離散凸関数のロバスト最適化問題に対するアルゴリズムの構築を目指す.また,次年度は最終年度に当たるため,本研究全体のとりまとめを行う.とくに提案したアルゴリズムを計算機上で実装し,応用から得られる様々な問題例を用いて計算機実験を行い,実用面での性能についても評価する.実験結果を踏まえ,アルゴリズムのさらなる改良が可能かどうかを検討する.本研究の成果については国内外の学会等で発表し,関連分野の研究者からの評価を仰ぎ,アルゴリズムの改善につなげる.可能であれば国内での出張を実施し,この分野の研究者の前で研究成果の説明を行い,評価を仰ぎたい.研究成果がある程度得られた時点で,成果を論文にまとめ,学術論文誌に投稿することも検討する.
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Causes of Carryover |
本年度の経費は国内外での学会参加および研究者とのディスカッションのための出張費用として使う予定であった.コロナ渦で予定していた国内外の出張が全く実現できなかったため,そのための出張費による支出がなくなったことが主な理由である.実施できなかった出張の多くを次年度に実施すべく,予算を使わないようにしていたが,2021年度も少なくとも前半は出張の見込みが立たず,別の用途に使う予定である. なお,参加予定だった学会の多くはオンラインにより開催されたが,その参加費は無料だったため,参加費による支出もなかった.また,研究のペースを上げるために大学院生をRAとして雇用することも検討したが,昨年度はほとんどの期間,学生が大学に来ることができなかったため,実現できなかった. 来年度も国外への出張は実現不可能であり,国内出張についても前半はほぼ不可能であるが,その分の支出を大学院生のRAとしての雇用や,数値実験用のPCの購入などに充てることを検討している.
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Research Products
(6 results)