2018 Fiscal Year Research-status Report
異質な集団を含むデータに対する統計的学習理論を用いたモデル開発と臨床医学への応用
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18K11197
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 賢一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70617274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 集団の異質性 / 解釈可能性 / pAUC / 反応例解析 / 欠測データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,異質な部分集団で構成されるデータに対し「予測力(または説明力)」と「解釈可能性」が両立した統計モデルの構築を模索することである.本年は,解釈可能性を担保する方法としてのpAUCについて主に研究を行った.臨床医学においては,対象集団についてある治療とその対照治療の効果を比較し,因果的な効果を推定する必要がある.しかし,一部の対象患者においては有効性の欠如・有害事象の発生などの理由から試験治療を中止する場合がある.したがって,評価変数の欠測が,無視できない割合で生じてしまう.このような場合に,特定の閾値を定め,連続量の評価変数を二値化して評価することが考えられる.この方法を反応例解析という.これは,欠測のメカニズムの仮定が不要である長所がある一方で,二値化により情報損失が伴うという欠点を孕む.この問題を軽減するために,評価変数の経験累積分布関数の部分曲線下面積の差(partial area under the curve; pAUC)を評価項目として用いることを提案した. pAUCは,特定の閾値以上(以下)の反応例割合の平均に比例するという有用な解釈ができる.理論的な解析や数値実験から,提案法は反応例解析より検出力が増大する場合があることが示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
pAUCを,欠測値データに対する新たな解析法として提示することができた.当初想定していたクラスタワイズ回帰モデルについて遅れている部分はあるが,今年度の研究を回帰モデルに応用するという新たな着想が得られた.上記の2点を総合的に考慮すると,進捗は順調であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
クラスタワイズ回帰モデルに基づく,より解釈可能な形のモデルの構築と,その推定方法の確立を行う.既存の方法では,クラスタの情報を共変量から読み取ることが難しいが,これを克服するためのクラスタリング法をまず確立させる.また,Andモデルを実現させる決定木やOrモデルとしての適応的インデックスモデルを取り込むことも視野に入れて研究を推進する.
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Causes of Carryover |
(理由) 研究遂行に必要な物品や活動に対して研究費を執行した際,当初の見込み額と若干のずれが生じた.具体的には,物品の価格変動と海外出張時の為替変動である. (使用計画) 上記の理由により執行額と見込み額に多少の差が生じたが,研究計画自体に変更はない.今年度の研究を土台に,計画に沿って研究を推進する.生じた差額は,書籍または外部記憶装置の購入に充当する予定である.物品費は,研究に関連する書籍や数値実験の結果を保管する記憶装置の購入に使用する予定である.旅費は,研究推進に必要な学会参加や研究打ち合わせのために使用する予定である.また,資料整理の依頼に対する謝金や,論文の英文校正のための支出も計画している.
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Research Products
(5 results)