2020 Fiscal Year Research-status Report
異質な集団を含むデータに対する統計的学習理論を用いたモデル開発と臨床医学への応用
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18K11197
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 賢一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70617274)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 集団の異質性 / 解釈可能性 / 混合治癒モデル / 生存時間解析 / power-IDI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,異質な部分集団で構成されるデータに対し「予測力(説明力)」と「解釈可能性」が両立する統計モデルの構築に寄与することである.本年度は,(1) 生存時間データに対する潜在的な混合モデルの提案と,(2) power-IDIの問題点を解決するための検討を行った. (1)については,生存時間に対する一般的な回帰モデルである,比例ハザードモデル(以下,PHモデル)より柔軟な統計モデルの提案を行った.PHモデルでは比例ハザード性という強い仮定を要請するため,データに対して妥当なあてはめができない場合が想定される.また,PHモデルではイベントが必ず生起するという性質があるため,治癒が想定されるような事象に対してこれをあてはめることは妥当でない.そこで,我々は未治癒群と治癒群を想定した混合治癒モデルを元に,未治癒群の異質性を表現するシフトガンマ分布をフレイルティとして導入した生存時間モデルを提案した.一般には,ガンマ分布をフレイルティとするガンマフレイルティモデルを考えるが,提案モデルではパラメータ制約を与えたガンマ分布が未治癒である個体についての異質性を表現するように,位置パラメータを導入している点が重要である. (2)については,power-IDIが本質的にもつ2段階変換を経由するという困難と,それに伴う値の解釈の難しさを克服するための検討である.ここではTakenouchi et al. (2012)により提案されたROC曲線の下側面積の拡張を元に,べき変換とは別のアプローチによるFisher一致性をもつ指標の構築の可能性が示唆された.また,決定曲線解析(decision curve analysis)との関連を検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
混合治癒モデルに基づく生存時間解析の提案は行ったものの,本年度は新型コロナウイルス感染症の問題により研究時間が大幅に圧迫され,当初の予定通りに研究が推移したとはいえない.
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」にあるように,新型コロナウイルス感染症の影響により,当初の予定通りに研究が推移したとはいえない.したがって,本年度の方針を整理し,より一般の回帰モデルについての課題解決を目指したい.power-IDIの問題を解決するための試みも引き続き行う予定である.また,前年度に引き続き,研究目的に合致したクラスタワイズ回帰モデルに基づく統計モデルの再検討も行う.具体的には,擬似線形関数に依存しない,拡張モデルの可能性を模索する.とくに,不連続な挙動を許容するようなモデルを含んだ拡張が必要であると考えている.
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症の影響により,国際学会への参加取りやめやオンライン開催への変更により,想定された旅費が未使用となったため. (使用計画) 執行額と見込み額に大幅な差が生じたため,次年度以降に国際学会への参加を行う予定である.また,オンラインでの研究集会や研究打ち合わせが増加することが見込まれるため,研究環境の改善を目的とした物品の購入も行う.本年度同様,資料整理の依頼に対する謝金,論文の英文校正のための支出も計画している.
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] A nationwide randomised, double-blind, placebo-controlled physicians’ trial of loxoprofen for the treatment of fatigue, headache, and nausea after hangovers2020
Author(s)
Hara, M., Hayashi,K., Kitamura, T., Honda, M., Tamaki, M.
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Journal Title
Alcohol
Volume: 84
Pages: 21-25
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Pulmonary vein isolation alone vs. more extensive ablation with defragmentation and linear ablation of persistent atrial fibrillation: the EARNEST-PVI trial2020
Author(s)
Inoue, K., Hikoso,S., Masuda, M., Furukawa, Y., Hirata, A., Egami, Y., Watanabe, T., Minamiguchi, H., Miyoshi, M., Tanaka, N., Oka, T., Okada, M., Kanda, T., Matsuda, Y., Kawasaki, M., Hayashi, K., Kitamura, T., Dohi, T., Sunaga, A., Mizuno, H., Nakatani, D., Sakata, Y.
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Journal Title
EP Europace
Volume: 23
Pages: 565-574
DOI
Peer Reviewed
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