2018 Fiscal Year Research-status Report
Theory of high-dimensional martingales and its statistical applications
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18K11203
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西山 陽一 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (90270412)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マルチンゲール / 適合度検定 / 変化点検定 / 最大不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の研究成果は2つある。ひとつめは、統計モデルの適合度検定における Anderson-Darling 型統計量の核心部分をヒルベルト空間の特別な場合であるL^2に値をとる確率変数とみなし、同空間の中での弱収束を示すことで、積分型統計量の、帰無仮説のもとでの漸近分布を導いたことである。極限分布は、標準ブラウン橋の2乗の和の分布となる。また、対立仮説のもとでの一致性も証明した。この研究は佃康司(東京大学)との共同研究として遂行された。 ふたつめは、モーメント法による推定量に基づいて、変化点検定のための新たな統計量を導出・提案したことである。この方法の由来は、独立同一標本の場合のスコアに基づく検定統計量に遡るが、今回の方法は、尤度のような、何らかのコントラスト関数の微分の意味でのスコアを用いるというアイデアを拡張して、一般的な推定方程式の解として得られる推定量を基礎としている点にある。よって従来の方法を真に拡張してものであるといえる。また、このような方法では、従来は、変化点の位置の推定は困難視されていたが、それを推定する新たな方法も提案し、一致性を数学的に証明し、さらに数値的に良い結果を得た。この研究は Ilia Negri(ベルガモ大学)との共同研究として遂行された。 本研究の理想的なゴールとして掲げているのは「最大不等式」である。すなわち、有限個の確率変数の max の期待値を上からの不等式で良い上限をえることである。この課題については、予想した通り研究進展は困難を極め、公表するにふさわしい成果は得られていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究の最大の目標の「最大不等式」は、私の抱く(希望的)予想が大胆であるため、それに至る道のりには幾多の困難がある。 一方、従来手法に基づいたやや応用よりの研究については、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
最大の目標である「最大不等式」の導出を目指したい。それと同時に、従来手法に基づいた統計的推測理論の着実な研究も併せて遂行していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額は僅少であり、ほぼ予定通りの当該助成金を使用できたと考えている。翌年度、物品費または旅費として新規助成金に加算して使用する予定である。
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