2019 Fiscal Year Research-status Report
The progressive theory of multiple comparison procedures
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18K11204
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
白石 高章 南山大学, 理工学部, 教授 (50143160)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多重比較法 / 閉検定手順 / 分散分析モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
繰り返しのある二元配置モデルにおける行または列の主効果の一様性の帰無仮説に対する検定として,分散分析法ではF検定が使われる.このF検定によって帰無仮説が棄却されてもどの主効果の間に違いがあるか検出できない.行または列のすべての主効果の相違に対するシングルステップの多重比較法として,Tamhane (2009)はテューキー型の同時信頼区間を論述している.この同時信頼区間を基に,シングルステップのテューキー型多重比較検定を導くことは可能である.本研究では,テューキー型多重比較検定を優越するマルチステップの多重比較検定法として,いくつかのt検定統計量の絶対値の最大値を基にした閉検定手順を提案した.この閉検定手順がシングルステップのテューキー型多重比較検定を優越する十分条件を与え,この閉検定手順から生成される主効果の同時信頼領域がテューキー型の同時信頼区間に一致していることを示した. 多群正規モデルで,平均母数に傾向性の制約のある場合に,群サイズが等しい場合にすべての平均相違の多重比較検定としてHayter (1990)は,t統計量を基にしたシングルステップの多重比較法を論じた.群サイズが等しい条件を課することなく白石・松田(2016)はBバー自乗統計量を基にした閉検定手順を提案した. 主効果に傾向性の制約のある場合の繰り返しのある二元配置モデルにおける行または列の主効果に対するシングルステップのヘイター型の多重比較法を提案することができた.さらに,いくつかのt検定統計量の最大値を基にした閉検定手順を提案でき,この閉検定手順がこのヘイター型の多重比較検定を優越する十分条件を導くことができた.さらに,Bバー自乗統計量を基にした閉検定手順も提案した.提案した閉検定手順の検出力とシングルステップの多重比較検定法の検出力を計算機シミュレーションにより優劣を検証し,特長を述べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多重比較法は多群モデル(一元配置モデル)での論文が多いが、交互作用のある二元配置モデルでの多重比較法の解明がなされた. 多群連続モデルにおけるすべての平均相違の多重比較論をSpringerBriefsの1書籍として執筆した.その内容は、次の(i)から(vi)である.(i) 母数に順序制約のないモデルでテューキー・クレーマー法に関連した発展的かつ綺麗な結果.(iii) 母分散が一様であるとは限らないベーレンス・フィッシャーの問題に対する多重比較法として,ゲイムス・ハウエル法の紹介とその手法を優越する閉検定手順.(iv) 母平均に順序制約がある場合の多重比較法として,群サイズが異なる場合も使用できる手法を紹介した.(v) 多重比較検定の検出力の比較.(vi) (iv) の手法を実行するために必要な数値積分の方法.薬の増量や毒性物質の暴露量の増加により母平均に順序制約を入れることができる場合が多いためである.一般に,順序制約のあるモデルでの多重比較法の方は,順序制約のないモデルでの多重比較法を大きく優越する.このため,順序制約のあるモデルで考察することは非常に有意義である.これが上記の(iv) を論述している理由である.分散分析法で使われる分布論はF分布やカイ自乗分布を理解すればよい.これに対し多重比較法で使われる分布関数は1 次元の積分または重積分を使って表現され,計算機による数値計算が必要である.上記の(vi) に関して多重比較法における数値計算の精度の良い方法を解説した.多重比較法に限らず統計学の手法の開発として数値解析学を役立てることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
帰無仮説の族 F1,・・・,Fqに優先順位がつけられているときにゲートキーピング法とよばれる閉検定手順による多重比較検定がMaurer et al. (1995), Domitrienko et al. (2003), Domitrienko et al. (2008) によって提案されている.いずれもBonferroniの方法やHolm (1979)の方法による理論が用いられている.ゲートキーピング法の中でもMaurer et al. (1995)によって提案された直列型の方法は比較的単純でデータ解析によく用いられる.他の型の方法は非常に複雑である.本研究では,観測値がq次元連続分布に従うk標本モデルを考える.k個の平均ベクトルのp成分の間のすべての相違を多重比較するための帰無仮説の族をHp (p=1,・・・,q)とする.帰無仮説の族H1,・・・,Hqに優先順位がつけられているときに直列型ゲートキーピング法を使って水準αの多重比較検定を行う手順を多次元正規分布の下でのパラメトリック法と分布が未知であっても使用することが可能なノンパラメトリック法について論述する.さらに,第1標本を対照群,第2標本以降を処理群とするDunnett型の多重比較検定も提案する.さらにこれら直列型ゲートキーピング法をとりいれた閉検定手順」についても論述する. 処理効果に順序制約のある乱塊法モデルにおけるWilliams型の対照群との多重比較法について線形型統計量,Bバー自乗統計量,累積カイ自乗統計量に基づく閉検定手順について理論構築を行い,様々な検出力によりを比較を行う.
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Research Products
(3 results)