2018 Fiscal Year Research-status Report
通信機能縮退型のNoCルータを用いた非対称ルーティング法の確立
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18K11217
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
福士 将 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50345659)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ネットワークオンチップ / 耐故障ルーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
通信機能縮退型のネットワークオンチップ(NoC)ルータの構成方式を解明し,これを用いた非対称なルーティングの実現方法を確立することを目的に,以下の研究を行った. 1.2次元メッシュ結合のNoCに対する非対称なルーティング法の開発: 研究代表者らが開発したパケットの進行方向の制限に基づく既存の耐故障ルーティング手法をもとに,通信機能が非対称なルーティング法を開発した.本手法では,通信チャネルを単位とした新たな故障モデルを提案し,デッドロックと呼ばれる通信不全状態に陥ることを回避するために,複数の故障ブロック(FB)を定義するアプローチをとった.計算機シミュレーションによる性能評価を行い,既存手法と比較して,故障および不使用ルータ数を最大で約91%,パケット転送時の平均遅延を最大で約93%削減可能であることを明らかにした. 2.通信機能の縮退を可能にするNoCルータの開発: ルータ内で多くの回路面積を専有する入力バッファに着目し,入力バッファのサイズを縮退可能なNoCルータを考案した.本ルータを用いることにより,従来では故障扱いとなるルータを通信機能が部分的に縮退したルータとして扱うことが可能になる.本ルータの縮退機能を既存の耐故障ルーティング法に組み込み,計算機シミュレーションを行った結果,故障および不使用ルータ数を最大で84%,パケット転送時の平均遅延を最大で約87%削減可能であることを明らかにした.さらに,本ルータの回路設計を行い,縮退機能が回路上で正常に動作することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標は,進行方向の制限に基づく非対称ルーティング法を実現する基本方針を確立することであり,これは上記で報告した通り,概ね順調に展開しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に開発した非対称なルーティング法の改善を行う.すなわち,各ルータ内で許容可能な故障通信チャネル数を増加させることにより,さらなる性能の向上を図る.また,本手法の実装に必要な通信機能縮退型のルータ回路を設計する.さらに,本手法を3次元メッシュなどの他のネットワークに適用して,広く手法の効果を検証する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,主に,成果発表計画の部分的な変更(1件の発表を次年度に変更)による. 次年度(2019年度)では,本年度未使用額を成果発表旅費として活用し,研究を推進する予定である.
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Research Products
(7 results)