2019 Fiscal Year Research-status Report
論理IPの盗用を防ぐ堅牢な論理暗号化アルゴリズムの研究
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18K11219
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松永 裕介 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (00336059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 正義 京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (90452820)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 論理暗号化 / SAT(充足可能性判定問題) / 論理合成 / ハードウェアセキュリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
論理暗号化に対する攻撃手法としてはSAT攻撃と呼ばれる手法が知られている.従来のほとんどの暗号化はこのSAT攻撃によって解読可能であるので,SAT攻撃に対して耐性を持つ「アンチSAT」と呼ばれる暗号化手法が提案されている.今年度はこの「アンチSAT」に関して調査・検討を行い,従来手法の欠点を克服したより堅牢な暗号化手法の提案を行った. まず,既存のアンチSAT手法の問題点として,暗号化の要求を論理仕様を実現するための論理回路を実際に自動合成するのが困難であることが挙げられる.単純に回路を合成しただけでは合成された回路構造をトレースすることで容易に付加した回路の論理仕様がわかってしまい,そこから解読するための鍵情報を読み取ることができるので,複雑な回路を合成しなければならないが,鍵のビット数が増えるに従って問題の複雑度が指数関数的に増えるため容易ではない.また,たとえそのような回路を合成することができたとしても面積・遅延・消費電力のオーバーヘッドが無視できない可能性がある. そこで、アンチSAT手法に本質的に必要な処理について精査した結果,従来のアンチSAT手法の考え方をより一般化した「アフィン変換に基づく論理暗号化手法」を開発した.ブール代数におけるアフィン変換は具体的な論理回路としてはXOR(排他的論理和)演算で行うことができ,実装のオーバーヘッドは極めて小さい.ベンチマーク回路を用いた実験の結果,暗号化の影響が伝搬する外部出力を唯一に限定した場合,このアフィン変換に基づく論理暗号化手法がSAT攻撃に対して高い耐性を持つことが確認できた.従来手法が対象の回路に対して仕様となる論理関数を与えて,その仕様を満たすように回路変換を行っているのに対して,本手法では直接,対象回路にアフィン変換を施す(XORゲートを挿入する)だけなので極めて簡単に論理暗号化を行うことができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アフィン変換に基づく論理暗号化手法は単純かつ強力な論理暗号化手法であり,今後,論理暗号化手法の主流となる可能性のあるものである. ただし,SAT攻撃に対する耐性を評価する場合,数時間~数十時間かけて解読不能であることを示す必要があるため,評価を多大な時間を要しており,詳細な評価は十分に行えていない.
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Strategy for Future Research Activity |
提案したアフィン変換に基づく論理暗号化手法の開発をすすめるとともに,ランダムサンプリングを用いて論理暗号化手法の堅牢性を評価する確率的手法の開発を目指す.これは論理暗号化手法の耐性評価に時間を要する問題を軽減するためである.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症拡大防止のため2月,3月に予定していた国内出張(3件)が取りやめとなったため.次年度の旅費およびテレビ会議のための諸経費に充てる.
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