2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on NoC system robust to fluctuation of traffic patterns
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18K11226
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邊 孝博 早稲田大学, 理工学術院(情報生産システム研究科・センター), 教授 (70230969)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | NoC / ルーティングアルゴリズム / 通信トラフィックパターン / トラフィック混雑検知 / 混雑回避ルーティング / トラフィックロバストルーティング |
Outline of Annual Research Achievements |
LSIの設計・製造技術とシステム開発技術の進展により、SoC(System-on-Chip)の規模は益々増大している。そのため、数百個以上のプロセッサ・コアを集積したMPSoC(Multi-Processor SoC)ではコア間の通信が重大な問題となる。NoC(Network-on-Chip)は、従来SoCのバスベース通信に代えて、コア間の通信をオンチップ・ネットワークを用いたパケット通信で処理することで、スケーラビリティと通信性能の向上が得られ、大規模なマルチコアシステムが実現できる。しかし、NoCでも通信量増大につれて通信混雑が発生し、十分な性能を発揮できない状況が発生する。このため、混雑状況下でもパケットを効率よく伝送できるルーティングアルゴリズムが必須である。 本研究では、通信量増大に伴って通信混雑が発生した場合でも、遅延が小さく良好な性能を発揮できるNoCルーティングを実現した。具体的には、(1)様々なトラフィックパターンに対する複数のルーティングアルゴリズムの性能評価を行い、パターンとアルゴリズムの相性の調査、(2)あるトラフィックパターンの下での混雑状況の検出機構の提案、(3)トラフィックパターンの特徴に応じた最適アルゴリズムを選択する機構の提案、(4)ホットスポット・トラフィックパターンでの局所的混雑とアルゴリズム性能との関係の分析、(5)低コストな混雑検出回路の提案 である。研究の結果、与えられたトラフィックパターンの下で事前に用意したルーティングアルゴリズム群の中から最適なものを選択できる機構と、混雑状況に応じてアルゴリズムを切り替える機構を提案し、当初の研究目的を達成した。また、NoCに故障がある場合にその故障部分を回避するルーティング手法についても取り組んだ。この問題は、通信混雑を回避する手法と類似した部分があり、今後取り組むべき発展的な課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究を引き継いで、トラフィックパターンの変動要因の分析結果に基づいたトラフィック混雑状況の2種類の検知機構の提案手法を適用して、ルーティングアルゴリズムの性能実験(パケット注入度の増加に対するパケット通信のスループットとレイテンシの評価)を行った。混雑状況としては(1)局所的な混雑状況がランダムに発生する場合と、(2)トラフィックパターンの種類に依存して発生する場合 に分類した。(1)での混雑検知機構として、ルータに備わっているバッファでのパケットの待機状態をもとに定義する混雑度を用い、3×3のベーシックなメッシュ形NoCに対して、高い混雑度の領域を回避する経路探索のアルゴリズムを提案した。(2)では、トラフィックパターンの種類判別のために、(A)パケットの始点・終点アドレスから予測できるトラフィックパターン(トランスポーズ、ビットリバーサルパターンなど)と、(B)サンプルパケット群の終点の分布に基づく分散から特徴抽出できるトラフィックパターン(ランダムパターンなど)との2種類に分類し、パターン【A】ではWest-Firstルーティング手法を、(B)ではX-Yルーティング手法を適用するフレームを提案してきた。サイズの異なるメッシュ型NoCを用いた実験では、レイテンシとスループットの評価で、いずれのトラフィックパターンでも提案手法が従来手法より優れていることが判った。 以上より、パターンの変動要因であるトラフィック状況を分類し、それに適切な混雑検知機構を適用することで、目標とする「トラフィックの種類や混雑状況に応じたNoCルーティングの高性能化」が達成できた。 これらの成果はIEEE MCSoC国際会議にて論文発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果により、トラフィックパターンおよび混雑度検知の機構の構築と、ルーティングアルゴリズム切替による性能向上が確認でき、主題であるトラフィックパターンの変動に頑健なNoCルーティングシステムが構築できた。そこで最終年度の目標としては、与えられたトラフィックパターンの下で、さらに高性能なルーティングを実現する混雑回避アルゴリズムの開発を絞り込んで行うこととする。 一つはパケット転送経路の履歴に基づいて混雑箇所を予測し最適ルートを探索する方式、もう一つはメッシュ形NoC上で混雑箇所が集中している領域を特定して迂回経路を選択する方式である。それぞれの基本アルゴリズムは検討済みであり、実験評価を行う。 併せて、耐故障性を高めると同時に、デッドロック問題を回避するるルーティングを提案し、実験で評価する。耐故障性の評価はパケット到達率を指標として行うこととする。 これらの研究により得られた成果は適宜、学会発表等で報告していく。
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Causes of Carryover |
物品費および前年度の学会発表旅費の一部を他の費目から調達できて繰越分があったため、今年度の合計支出分が予算額より少なくなった。
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Research Products
(4 results)