2019 Fiscal Year Research-status Report
特性の異なる複数経路を有効活用するためのマルチパスデータ転送方式
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18K11235
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阿部 洋丈 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00456716)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | インターネット / データ転送制御 / 複数経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
当年度は、本研究で開発を進めている HayACK と呼ばれる転送制御方式が、実際のネットワークとどの程度の親和性を持っているかの調査を、全世界のボランティアが設置しているサーバを利用する形で実施する方法を考案し、実際に調査を行った。当初の計画では世界各地のクラウド事業者からサーバを借りることで、本提案方式による通信がどのくらいの割合で成功するかを調査する予定であった。しかし、実験の実施方法について検討を重ねる過程で、サーバそのものを借りることなく、ボランティアベースで運営されている全世界規模の仮想プライベートネットワーク(VPN)基盤を利用することで同様の実験が実施可能であることに思い至った。当研究者らは、そのVPN基盤の運営者と協議を行い、実験の妨げとなるバグの修正などを経て、2019年末から2020年初頭にかけて実験を実施した。その結果、11カ国に散らばる合計87の経路のうち、約82%の経路において、HayACK で用いられるような突発的な ACK パケットが破棄されることなく通過可能であることが確認された。本調査結果は、国際会議 ISGC 2020 にて発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ソフトウェアの開発が遅れて進捗が遅れ気味であったが、実験を広範囲かつ効率的に実施する方法の着想を得たことにより、その遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、HayACK 方式が他の方式と混在した場合の公平性の評価、および、公平性を改善するための方式の検討と実装を予定している。現在は、ネットワークシミュレータを用いた実験環境の構築、および、予備的な実験結果の収集を進めている。
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Causes of Carryover |
クラウド事業者からのサーバを借りる必要が無くなったこと、および、新型コロナウィルスによる国際会議の延期により、予定していた予算をほとんど使うことが無かった。持ち越した分は次年度に持ち越して、延期になった国際会議への参加費、および、当初の予定よりも広範囲な条件でのシミュレーション実施のために充てることを予定している。
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