2020 Fiscal Year Research-status Report
特性の異なる複数経路を有効活用するためのマルチパスデータ転送方式
Project/Area Number |
18K11235
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阿部 洋丈 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00456716)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ネットワーク / 転送制御 / マルチパス転送 / TCP / MPTCP |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度実施したのは、我々の提案する転送制御方式が他の方式と併用された場合の公平性の評価の一部である。今年度は、ネットワークシミュレータを用いて、比較的少数の送受信者からなる評価を中心に行った。その結果、我々の提案手法である HayACK を用いた場合、元の MPTCP と比べて顕著に公平性が損なわれる現象が観測された。その現象が確認されたのは、複数の通常の(マルチパスでない)転送が既に流れているリンク上に、マルチパス転送における複数パスのうちの一つを流す場合である。今回、2経路間のRTT(往復の通信にかかる時間)の差が100から250ミリ秒の場合、HayACKと元のMPTCPとの間で、7%程度の公平性の低下が確認された。この現象は、元の MPTCP なら検出できる輻輳状態が HayACK では正しく検知できていない可能性を示唆している。しかし、シミュレーションを実施できた環境がまだ少数に留まっていることと、シミュレーション用のコードの誤動作によって結果に異常が生じる問題を完全に解決することが出来なかったため、そう結論付けるまでには至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、新型コロナ感染症の感染拡大防止のため、大学キャンパスへの立ち入りが制限されるなどの影響で、十分な研究時間を確保することが出来ず、予定していた内容の一部しか実施できなかった。そのため、研究期間を延長し、2021年度も引き続き実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度(延長期間)は、シミュレータを用いたより多面的な評価を通じて原因を特定し、我々の提案手法であえる HayACK における公平性の課題をより明確にする。また、明確な課題が明らかになった場合は、その解決に向けた新たな手法の提案と評価を行う。
具体的は、昨年度実施できなかった大規模シミュレーション環境のための環境整備を進め、その上で多数の送受信者からなるシミュレーション実験を実施し、その結果の分析および改善手法の検討・評価を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の影響で、シミュレーションの大規模化が当初の計画通りに進められなかった。2021年度中に計算機を導入しシミュレーションを実施する。
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Remarks |
International Symposium on Grids & Clouds 2020 (ISGC 2020) が、一旦延期とされた後に、最終的に完全キャンセルとなった。そのため、International Symposium on Grids & Clouds 2021 (ISGC 2021) に同じ発表を再度申し込み、再度採択され、2021年3月に発表を行った。
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