2020 Fiscal Year Research-status Report
要求獲得における不吉なにおいの検出と改善支援の研究
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18K11237
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 元司 東京工業大学, 情報理工学院, 教授 (80162254)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゴール指向要求分析法 / ユースケースモデリング / データ依存性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下を行った。 1) ユースケース記述のデータ依存性解析を用いた不吉な臭い検出手法の開発:前年度開発したユースケース記述のフロー中のデータ依存解析を行う手法を事例分析をもとにさらに改良した。この手法では、記述の各文の格構造解析を行い、出現するオブジェクトやその属性値を抽出し、オブジェクトや属性と共起して出現している動詞をその目的語が表すオブジェクトの流れに応じてCreate、Delete、Receive、Sendなど7種類のカテゴリに分類し、制御フローとデータ依存関係の不整合より、条件を無視した動作、事後条件が満たされない動作など5種類の不吉な臭いが検出できるように改良を行った。 2)ゴール記述の意味的類似度を用いた詳細化の不吉な臭いの検出手法の開発:親ゴールの達成に直接貢献しないような子ゴールへの詳細化を検出するために、ゴール記述の意味的な類似度を計算するアルゴリズムの比較を行い、検出の改善を行った。これまでの辞書に頼る手法ではなく、あらかじめ大規模コーパスで学習させたWord2vecを活用し、文節ベースで類似度を計算する手法と単語ベースで行う手法とを開発し、性能評価を行った。その結果、単語ベースでの類似度計算がその効用を期待できることが判明した。 3) 変更時に混入する不吉な臭いの検出法の検出:これまでの不吉な臭い検出は、完成したゴールモデルやユースケースモデルに対して行うことを目的としていたが、不吉な臭いが混入されていなくてもモデル変更時に混入してしまうことがある。ゴールモデルを対象に、ゴールの追加、削除といった基本的な変更操作列とその変更理由をもとに、不吉な臭いを生じさせる可能性のある変更を指摘する手法を開発した。事例研究により、将来不吉な臭いとなるような変更を抑制するように提示できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゴールモデルおよびユースケースモデルの意味的な不吉な臭いの検出法の改善も順調に進んでいるだけでなく、モデル変更時に生じる可能性のある不吉な臭いへの対処という新しい視点での検出、将来の不吉な発生の抑制法についても見通しを得たことにより、全体の進捗としては順調に進んでいるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度挙げた成果をもとに、ゴール記述やユースケース記述の意味に関する「不吉な臭い」検出と改善の自動化技術を統合し、総合的に評価を行っていく。また、モデル作成プロセスで生じる不吉な臭いだけでなく、モデル変更で生じるものについての処理も考慮し、評価を行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で、学会がオンライン開催になり、成果発表や研究打合せにかかる費用が消化できなかった。また、データ依存解析を用いたユースケース記述の不吉な臭い検出や意味的類似度を用いたゴール詳細化の不吉な臭い検出の評価実験による実際的な検証も同様の理由で先送りになった。次年度は、統合化支援ツールの整備、評価実験および成果発表に研究費を使用する予定である。
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