2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of Adaptive Link Rate Switching between SDN Switches in Organization Networks to Reduce Power Consumption
Project/Area Number |
18K11253
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 成伴 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20272180)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 省電力化 / 通信速度切替方式 / 組織内ネットワーク / SDN |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,大学などの組織が,所属する拠点間を接続し,かつ外部ネットワークと接続するために所有する組織内ネットワークの消費電力削減方式を開発することを目的とする.ここで想定している組織内ネットワークとは,OpenFlowスイッチで構築されたSDN (Software Defined Network)であり,コントローラからリンクの最大通信速度などの設定を集中管理できることを仮定している.そして,一台のスイッチにつながるクライアントが,外部ネットワークへ接続することを想定した他のスイッチにつながっているサーバと,MPTCP (Multipath TCP)によるマルチパス通信を行う状況を前提としている. 第2年度の研究実績として,交付申請書の研究実施計画で述べた最初の計画である「(1) 専用OpenFlowスイッチによる通信実験」のために初年度に構築したネットワークの最大通信速度を1Gbpsから10Gbpsとし,通信速度を1Gbpsと10Gbpsの間で切り替えることで,より現実的なネットワーク環境での測定したことがあげられる.本実験により,キャンパスネットワークとISP (Internet Service Provider)を仮定した2種類のトラフィックパターンに当てはめた24時間分の合計の消費電力が,従来のALR (Adaptive Link Rate)と比較して,前者は2.6%,後者は1.0%の消費電力が削減できた.一方,合計スループットはいずれの場合も提案方式と従来のALRに差がみられなかった.これにより,研究者らが提案している「省電力化のためのMPTCPによるSDNを用いたスイッチ間帯域切り替え方式」の有効性が,10Gbpsの高速ネットワーク上で検証できた. なお,本実験の研究成果は,電子情報通信学会コミュニケーションクオリティ研究会で発表している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」で述べた通信実験には,以下の課題がある. まず,(1)ネットワークを構成する3台のOpenFlowスイッチは,第2年度までに構築が完了しているが,10Gbpsのリンクは1本だけなので,リンク数を増やすことも検討している. 次に,(2)提案方式による実装が不完全であり,トラフィックの増減に応じて,動的に帯域を切り替えるできないことが挙げられる.この問題は,コントローラ側からOpenFlowスイッチの制御がうまくできていないことに起因するが,コントローラのプログラムの修正に遅れが生じており,うまく動作できるようにできるまでに時間がかかる見込みである. 以上のことから,研究は「やや遅れている」と言える.
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Strategy for Future Research Activity |
研究第3年度は,10Gbpsリンクを増やすことを検討する.そして,提案方式の実装の問題を解消を継続し,トラフィックの増減に応じて,動的に帯域を切り替えることができるようにする.これにより,24時間を通した通信実験を行い,提案方式とALRの消費電力の比較を行うことが第1の目標となる. 次に,交付申請書の研究実施計画で述べたもう1つの計画である,「(2) 複数の拠点が同時に通信した場合の通信速度切替方式の開発」の準備を行う. さらに,クライアントとサーバ間の通信はMPTCPによるものを考えているが,現在よく使われているTCPやUDPを使用したときに適用することも検討している.
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Causes of Carryover |
3月に情報処理学会全国大会への出張を予定していたが,新型コロナウィルス感染症拡大の影響により,全国大会の現地開催が中止となり,オンライン開催に変更された.このため,旅費の執行額が大幅に削減された.このため,新型コロナウィルス感染症が収束することを前提に,学会発表を積極的に行う予定である.また,研究を遅れを取り戻すため,短期雇用を増やすことも検討している.
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