2018 Fiscal Year Research-status Report
Reducing communication volume of contents delivery network using distributed collaborative caches
Project/Area Number |
18K11259
|
Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
吉永 努 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (60210738)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 分散協調キャッシュ / コンテンツ配信網 / デバイス間通信 / リアルタイム配信 / 動画配信 / 通信量削減 / モバイルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
1.軽量・高性能な分散協調キャッシュ機構の開発: 従来の遺伝的アルゴリズムを用いたコンテンツ分散配置の最適化手法に比べ、ユーザからのコンテンツ取得時間とキャッシュによる通信量削減効果が同等であり、且つコンテンツ配置を決定する計算コストが1/10以下となる軽量・高性能な分散協調キャッシュ機構を設計した。設計した手法を色キャッシュと呼び、個々のキャッシュサーバとコンテンツに色タグを付与し、色タグ情報に基づいてどのコンテンツをどのキャッシュサーバに分散保存するかを制御する。30年度は、キャッシュサーバ制御プログラムのソフトウェア実装を行い、現在ソフトウェアプロトタイプを用いた色キャッシュの動作検証と予備評価を実施した。 2.デバイス間(D2D)通信を利用したコンテンツ配信技術の開発: 第5世代モバイル機器で利用可能なD2D通信を分散協調キャッシュと組み合わせて活用するコンテンツ配信機構を設計した。各モバイル機器の小容量記憶装置を上記1で設計した色キャッシュの一部として使用する仕組みを開発した。これにより、例えばオリンピックスタジアムのようなユーザ密集地におけるD2Dコンテンツ配信の通信量を従来手法に比べ大きく削減することができる。シミュレーション評価を一部については、30年度の国際会議で成果を発表した。 3.色キャッシュを応用したリアルタイム動画配信機構の設計: 近年、コンテンツ配信網(CDN)を通じて多数のユーザが動画をリアルタイム視聴することへの対策が重要になっている。リアルタイム動画視聴では、一時的にCDNの通信負荷が大きくなるのでキャッシュサーバを活用した通信量削減が有効である。そこで、色キャッシュを応用したリアルタイム動画配信機構を設計した。本成果の一部は、30年度の国際会議で発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書の「本研究の着想に至った経緯など」における準備状況欄に記載した通り、本研究に関連してコンテンツ配信網のためのキャッシュ技術をTIS株式会社と共同研究を実施した。共同研究の一部として試作したプログラムのソースコードがTIS社の事業化計画の関係で一定期間大学側で使用できなかったため、我々は30年度に大学側で別途プログラムを再開発する必要が有り、その影響で研究の進捗状況がやや遅れることになった。ただし、30年度に再開発したプログラムがほぼ完成したので、今後2年間の研究計画の実施に当たって大きな問題はない。
|
Strategy for Future Research Activity |
30年度に設計した色キャッシュ方式をベースに、以下の2点について研究を推進する。 1.デバイス間(D2D)通信を利用したコンテンツ配信技術の応用: 30年度に設計したD2D通信を利用したコンテンツの分散協調キャッシュ技術を発展させる。特に、ユーザによるコンテンツのアクセス頻度が変動する場合においても個々のデバイスがキャッシュすべきコンテンツをアクセス頻度の変動に追随して識別できる仕組みを開発する。 2.色キャッシュを応用したリアルタイム動画配信技術の評価: 30年度に設計した色キャッシュを応用したリアルタイム動画配信技術を発展させる。30年度は、小規模の動画配信ネットワーク上での予備評価しか実施していない。今後は、大規模の動画配信ネットワークや複数動画のリアルタイム配信など、種々の条件に対して有効なリアルタイム動画配信技術の開発と評価を行う。
|
Causes of Carryover |
現在までの進捗状況に記載の通り、研究の進捗がやや遅れているため、実験用の計算サーバとネットワークスイッチの購入を次年度に先送りした。また、旅費については30年度に成果発表した国際会議が国内で開催されたため支出が予定を下回り、次年度使用学が発生した。購入を先送りした実験用の備品は次年度の購入を予定している。その他の次年度使用額については、英語論文の校閲、論文投稿料、成果発表の旅費等に使用する。
|