2019 Fiscal Year Research-status Report
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18K11262
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小島 英春 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (90610949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢内 直人 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (30737896)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | モデル検査 / 状態爆発抑制 / 経路保証プロトコル / 無線マルチホッププロトコル |
Outline of Annual Research Achievements |
IoT技術の発展により様々な機器が無線を用いてネットワークに参加することが考えられる.機器間の通信経路を構築することが必要であり,その役割を担う通信プロトコルは重要である.通信プロトコルの1つである経路保証プロトコルは署名を用いて経路の正しさを保証することで,攻撃者により偽の経路情報がネットワーク流れたとしても正しく経路を構築することが可能となる.本研究は,そのようなプロトコルが正しく動作するかどうかを,モデル検査を用いて検証する.しかし,モデル検査の問題点である状態爆発を抑制する必要がある.その方法として,方法1:トポロジの同型判定を利用した状態数削減手法を用いて複数の状態を等価なものとして扱う方法,さらに,方法2:では方法1:の手法を署名を用いる経路保証プロトコルに対しても適用することによって状態削減を行うことで,モデル検査を可能にする.経路保証プロトコルでは,署名を扱うため,方法1:の状態数削減を行うことに加えて状態に含まれる署名情報も適切に扱う必要がる.方法1:によってトポロジが同型であったとしても,含まれる署名が異なるため署名情報も含めて複数の状態が等価であることを示すことが重要となる.2019年度では,方法1:の手法を開発しAODVやDSRなどに適用した結果を国際会議に投稿,発表を行った.続けて方法2:に関する研究開発を進め,経路保証プロトコルに対して1:の手法を改良して適用することで,状態数の抑制が可能であることを示した論文を,2020年度に開催される国際会議に投稿した.また,検証対象である経路保証プロトコルの1つであるISDSRがどのように動作するか,どのような性能であるかについて実装・実験を行い,その結果を国際会議において発表し,投稿した論文誌に採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は,SPINとProverifの両方を対象に状態数削減手法の実装を進める予定であったが,今年度からは,SPINに注力することとしたため,状態数削減手法の開発は完了したと考えられる.状態数削減手法をAODVやDSRに適用した場合,大きく状態数を削減することができた.また,経路保証プロトコルであるISDSRに対しても改良した状態数削減手法を適用することで状態数の削減を確認できている.その手法については,国際会議に投稿済みである.2020年度は,提案手法を用いてのISDSRの安全性検証を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,当初の目標として,次の2点を行うことを予定しいる.1:トポロジに注目した状態数抑制手法を進め,AODVやDSRなどに適用する.2:署名に関する研究開発を進め,ISDSR など経路保証プロトコルを対象にし,安全性検証を行う. 2019年度で1の手法と2の一部については完了し,安全性検証を行うことが2020年度での予定である. 今後は,経路保証プロトコルの安全性検証を進めていくとともに,これまでの成果を論文誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
2019度は,もう1つの論文誌に投稿したが,査読結果が2020年になってしまったため,掲載料等の支払いが必要なかったこと,また,大学院生の補助により研究を進める予定であったが,その補助がなかったため,大学院生が使用する予定であった旅費が使用されなかったことが挙げられる.2020年度は,投稿済みの論文誌に加えて論文誌へ投稿し,掲載料として使用する予定ある.また,国内会議や国際会議の参加費,旅費へ利用する予定である.
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