2018 Fiscal Year Research-status Report
オンデマンド型バリアフリーストリートビューシステムの研究開発
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18K11267
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
荒井 研一 長崎大学, 工学研究科, 助教 (60645290)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | バリアフリー / ストリートビュー / 車椅子 / センサ情報 / IoT / スマートフォン / 全天球カメラ / YOLO |
Outline of Annual Research Achievements |
オンデマンド型バリアフリーストリートビュー(BFSV)システムを完成させるために、平成30年度においては「ステップ1:プロトタイプシステムの改良」に関する研究を行った。具体的には、研究代表者らがこれまでに作成したプロトタイプシステムを改良するための課題である(1)傾斜情報の取得方法の検討と(2)モザイク処理方法の検討を行った。
(1)傾斜情報の取得方法の検討 プロトタイプシステムにおいては、パノラマ写真が撮影されたタイミングでのみ傾斜の情報を取得しているため、パノラマ写真を撮影した場所以外の傾斜が正しく取得できていなかった。そこで、短距離間隔で傾斜値を取得する方法を提案した。また、プロトタイプシステムでは、傾斜角は3軸加速度と地磁気センサの値を用いて算出していたが、この算出方法では加速状態での誤差が大きく正しい傾斜を取得できていなかった。そこで、重力センサによる算出、ジャイロセンサ・加速度センサに相補フィルタを用いた算出方法を比較検討することで、加速状態でも少ない誤差で傾斜角を取得する方法を提案した。結果として、提案方法はプロトタイプシステムと比べてより詳細に傾斜情報を取得できるようになった。それらの成果を査読付論文として公開し、さらに国際学会及び国内学会で発表を行った。 (2)モザイク処理方法の検討 プロトタイプシステムにおけるパノラマ写真に対するモザイク処理は十分な精度が得られていなかったため、実用化を想定したモザイク処理方法を提案し、その精度評価を行った。具体的には、リアルタイム物体検出YOLO(You Only Look Once)を用いた人物検出方法を提案し、その精度評価を行った。結果として、提案方法はBFSVシステムでの実用化を想定したモザイク処理を実現する上で有効であることを示すことができた。その成果を査読付論文として公開した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、オンデマンド型バリアフリーストリートビュー(BFSV)システムを完成させるために「ステップ1:プロトタイプシステムの改良」と「ステップ2:動画版BFSVシステムの開発」の2つのステップに分けて研究を行っている。ステップ1の研究は、平成30年~31年(令和元年)度を予定しており、本年度は、研究代表者らがこれまでに作成したプロトタイプシステムにおいて課題となっていた傾斜情報の取得方法とモザイク処理方法の検討・提案を行った。結果として、提案方法はプロトタイプシステムと比べてより詳細に傾斜情報を取得できるようになったため、プロトタイプシステムの改良は順調に進展している。さらに、それらの成果を査読付論文として公開できたことは、バリアフリー社会の実現に向けた大きな成果である。また、ステップ2の研究は、平成31(令和元年)~32年(令和2年)度を予定しているが、本年度は、先行してパノラマ動画情報収集システムに関する検討を行った。以上より、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年(令和元年)度においては、「ステップ2:動画版BFSVシステムの開発」に関する研究を重点的に進める。動画版BFSVシステムにおいては、まず、動画の表示方法の検討を行う。基本的なシステム構成としては、静止画版BFSVシステムを利用できるため大幅な変更は必要としないが、静止画から動画への変更となるため、外出予定先の状況を動画版BFSVにより事前に確認するシーンを想定したストリートビュー提供方式を提案する。次に、モザイク処理方法の検討を行う。静止画版BFSVのモザイク処理方法を応用することにより、動画におけるモザイク処理方法を提案する。なお、動画版BFSVシステムは、外出予定先の状況を事前に確認するシーンを想定しているが、本年度、車椅子利用者に対して本システムに関するヒアリングを実施したところ、外出先(現地)でのナビゲーション機能の必要性も確認できた。そのため、今後は拡張現実(Augmented Reality)機能を用いたナビゲーションシステムの検討も進める。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 本システムを構築する際のプログラミング補助として大学院生への謝金を計上していたが、研究代表者がプログラミングするのみで本システムの構築を進めることができ、プログラミング補助が不要となったため。 (使用計画) 次年度はシステム開発がメインとなるため、次年度使用額はシステム開発を効率的に進めるためのプログラミング補助を行う大学院生への謝金として計上する。
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