2019 Fiscal Year Research-status Report
大規模社会ネットワーク分析におけるリンクの疎構造を利用した多項式時間解法の開発
Project/Area Number |
18K11271
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
高野 知佐 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60509058)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
會田 雅樹 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (60404935)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オンライン社会ネットワーク / 減衰振動 / アクティビティ伝播 / Twitter |
Outline of Annual Research Achievements |
人間関係により構成される社会ネットワークの構造は,一般に直接観測することが困難である.この構造を間接的に知るために,ネットワーク構造を表す行列の固有値・固有ベクトルを推定するネットワーク共鳴法が提案されている.本研究課題では,固有ベクトルの符号を効率的に決定する手法の提案,及びこれの計算量の評価を行い,符号決定の処理を多項式時間で実行できることを示した. さらに,オンラインネットワーク上の情報の流通やアクティビティの伝播に対して,ユーザの興味が時間と共に減衰する振動モデル(減衰振動モデル)を提案し,その減衰振動が固有振動数のどのような関数になりうるかについて考察した. また,ユーザダイナミクスを表す方程式の解を求めるだけでなく,特定のネットワーク構造がユーザダイナミクスに与える影響の因果関係を追求すると,ネットワーク上の相対論的量子力学の枠組みが自然に導かれる.本研究課題では,相対論的量子力学との形式的類似性を用いて,摂動論に基づいて特定のネットワーク構造の影響がネットワークの Laplacian 行列の固有値に与える影響を評価する方法を検討した. その他,社会ネットワークの構造分析として,SNS(Twitter)の実データを利用してフォロワー数分布を調査し,従来の複雑ネットワーク生成モデルのBAモデルとの比較や,サービスを牽引するインフルエンサー(フォロワー数が多い情報発信者)を中心とした部分ネットワークの構造分析を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ネットワーク共鳴法や圧縮センシング技術によって,ネットワークのスパースな情報からラプラシアン行列の固有値や固有ベクトルの絶対値を推定できることを 確認し,社会ネットワーク構造推定で問題となる計算時間の削減を達成した.さらにユーザダイナミクスに与える影響の因果関係やアクティビティ伝播モデルの特性解明だけでなく,実データによる社会ネットワーク構造分析にも着手し,計画以上の結果を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
社会ネットワーク構造を記述する減衰振動モデルの大枠的な特徴を解明することができたが,詳細な特徴量(パラメータ)の特定までには至っていない.Twitter の実データの分析を始めているが,炎上,バズに関連するワードやインフルエンサのツイート情報から,ユーザダイナミクスやアクティビティ(興味度の減衰など)の特性を明らかにし,より現実的なモデルを考察する予定である.
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で,月末に参加予定であった国際会議や研究会がすべて中止になったため,次年度使用額が生じた.
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