2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K11306
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Research Institution | Institute of Information Security |
Principal Investigator |
土井 洋 情報セキュリティ大学院大学, その他の研究科, 教授 (70338656)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 秘密分散法 / 階層型秘密分散法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年,インターネットを利用した様々なサービスが提供されている.例えば記憶領域を提供することを主とするサービスを考えた場合,情報のライフサイクル(生成,活用,消去)という観点から解決すべき問題は少なくない.(k,n)秘密分散法を用いて与えられた情報からn個のシェアを生成する場合,n個のうちk個以上のシェアを用いることで情報を復元でき,k個未満のシェアからは情報を復元できないという性質を得ることができる.この結果,シェアの紛失や漏えいへの耐性は向上するが,情報の消去には多数のシェアを消去する必要が生ずる.本研究では,秘密分散法,特に消去容易性の達成も見込める階層型秘密分散法等に注目し,その高速化と様々な技術への適用に関する研究を推進する.この実現により,クラウド上などに格納した情報の守秘,利活用と消去等を含む様々な処理に関して,利便性とセキュリティを高めることができる. 令和元年度は,平成30年度(初年度)の研究成果であるXOR演算を多用する階層型秘密分散法の研究に関連して,XOR演算を多用する(k,n)秘密分散法の理論的な分析を行った.分析の結果,シェアの生成や復元を行う行列を,巡回行列を成分とするVandermonde行列とみなすことで,奇素数を法とする(k,n)秘密分散法との関係を明らかにすることができた.秘密分散法の応用に関する研究の多くは奇素数を法とするものであり,それらとXOR演算を多用するものとの関係を示せたことになる.その成果を国内で開催されたコンピュータセキュリティシンポジウムCSS2019で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,秘密分散法,特に消去容易性の達成も見込める階層型秘密分散法等に注目し,その高速化と様々な技術への適用に関する研究を推進している. 3年間の研究期間のうち令和元年度は,平成30年度(初年度)の研究成果であるXOR演算を多用する階層型秘密分散法の研究に関連して,XOR演算を多用する(k,n)秘密分散法の理論的な分析を行い成果を発表した.この結果は,奇素数を法とする(k,n)秘密分散法との関係を示すものである.従ってアクセス構造が複雑な秘密分散法への応用に関して従来と異なる視点からの分析が可能になり,XOR演算を多用する階層型秘密分散法の理論的な分析等の検討を進めている.また,様々な機能拡張等の検討も継続している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,秘密分散法,特に消去容易性の達成も見込める階層型秘密分散法等に注目し,その高速化と様々な技術への適用に関する研究を推進している.この実現により,クラウド上などに格納した情報の守秘,利活用と消去等を含む様々な処理に関して,利便性とセキュリティを高めることができる. 平成30年度(初年度)はIDAを利用する階層型秘密分散法や,XOR演算を多用する階層型秘密分散法により,高速化については一定の結果を得ることができた.令和元年度は,XOR演算を多用する(k,n)秘密分散法の理論的な分析を行い,一定の結果を得られた.この結果は,XOR演算を多用する(k,n)秘密分散法と奇素数を法とする(k,n)秘密分散法との関係を示すものである.令和二年度は,より複雑なアクセス構造への適用が可能な奇素数を法とする方式の知見を元に,高速化が見込めるXOR演算を多用する構成法への適用等を検討する.また,様々な機能拡張等について引き続き研究を継続する.
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Causes of Carryover |
研究成果を国内の研究会や国際会議等で発表しているが,その一部が令和二年度以降になったため.また,令和元年度は当初の想定より理論的な検討に重きを置く結果となったため. 令和二年度は,令和元年度に得られた様々な検討結果をもとに研究を進め,国内研究会,国際会議,または学術論文誌等での発表を行うことを予定している.そのため,当初予定に加え国内研究会,国際会議,または学術論文誌等に関する使用を増やす予定である
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