2018 Fiscal Year Research-status Report
Multiphase thermal and turbulent flow simulation with fast distributed visualization in GPU cluster environment
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18K11323
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安藤 英俊 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50221742)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 孝司 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (50313789)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高性能計算 / GPU / 多相熱流体 / 乱流解析 / 可視化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は1.フォトンマッピング法の拡張による熱輻射の実装と評価,2.AMRとLESのGPU実装を行っていく計画であった. このうち1.は,すでに過去の研究成果として実際にGPU上で高速に実行可能なフォトンマッピング法を実装していたため,初期の熱輻射計算の実装は比較的容易に行えた.また計算の効率化のためのデータ構造の工夫,様々な物性値に基づく鏡面反射・拡散反射・屈折・吸収等を扱うためのデータ構造と処理方法について検討した.元来のフォトンマッピング法ではCGのための可視化を目的としているため,光はRGB値で表される色を持つが,波長やエネルギーの情報を持たないために,波長の違いによる屈折の違いや熱輻射のためのエネルギー計算のためには別途様々な工夫が必要になる.長期的にはCG分野におけるRGB表現と,熱輻射も含めた物理現象の正しい計算のための波長・エネルギー等の情報を統合することを検討するが,初年度は両方の情報を保持して可視化処理と輻射計算を分けて行う実装を取った.そのためにフォトンマッピング法の最小限の拡張で高精度な熱輻射計算が可能となり,理論計算可能な場合と比較して計算結果の十分な一致も確認できた.一方で計算に必要なメモリ量がかなり大きいために,今後の大規模計算に向けた省メモリ対応等も検討してゆく. またAMRとLESのGPU実装については最新手法の実装検討を行い,2次元空間内での初期的な実装を行った.AMRは適合型格子となるが,現状のフォトンマッピング法による熱輻射計算では均一な格子を用いている.最終的なフォトンマッピング法との統合を念頭に,格子表現の統一化も含めて充分な検討を早い段階からしてゆく必要があることが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に計画していた項目については当初の予定通り,あるいは部分的には予定以上の成果を達成した.すでに基本的な部分は正しく稼働しており,さらなる機能追加や計算の高精度化が可能である.フォトンマッピング法を拡張する熱輻射計算においては,最近のGPUがハードウェア上での高速なレイトレーシングに対応したため,その機能を活用する高速化の検討も重要になってきている.我々の目指す手法の実装にとって大変都合の良い状況となったが,最新技術の導入も含めて様々な検討が必要となる.初年度に実装・評価したフォトンマッピング法に基づく熱輻射計算については学会および国際会議で報告済みである.AMRとLESについては2次元上での実装評価から開始して徐々に拡張中であり,概ねスケジュール通りの進捗状況である.
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度には平成30年度に開発された手法の実装と評価に基づきさらなる改良・拡張を継続する.さらに新たに深層学習手法の導入,電熱と乱流解析の統合等も推進してゆく.熱輻射計算のためのフォトンマッピング法については,CGのための可視化処理を前提としない場合にデータ構造の効率化等が可能になるため,輻射計算に特化した高速かつ省メモリな実装を検討する.適合型格子と乱流解析についても3次元化はもちろんのこと,熱流体解析との統合のための拡張等を引き続き行ってゆく.深層学習手法の導入に関しては,可視化品質の向上および計算結果の高精細化の2つの面で検討してゆく.このうち可視化品質の向上については,すでにCGの分野である程度の成果が出ており,それらを参考に独自の拡張を加えてゆく.一般的なCGの可視化においては色や形の情報から最終的な画像を生成した上で,深層学習による品質向上を行っているが,我々の研究ではそれ以外にも様々な物理量を保持しているため,それらを活用することでさらなる品質向上を目指す.計算結果の高精度化についても,通常の超解像処理では利用できない様々な物理量の情報を活用することで,数値解析ならではの新しい技術を開発してゆく.
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