2020 Fiscal Year Research-status Report
メニーノード多階層メモリを統合する高汎用メモリシステムの研究
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18K11327
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
緑川 博子 成蹊大学, 理工学部, 助教 (00190687)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分散共有メモリシステム / クラスタ / メモリ / PGAS / マルチコア並列処理 / マルチノード並列処理 / 遠隔メモリ / 高性能計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
クラスタシステムであるスパコン上で,高性能計算を容易に記述できるメモリランタイムシステムmSMSの研究をさらに進めた.ソフトウェア分散共有メモリ mSMS をランタイムとして,クラスタの全ノードにアクセス制限のない同一の共有大域アドレス空間を実現し,mSMS が提供する 3つのマルチノード並列インタフェース(MpC, SMint, SMS ライブラリ関数)と,既存の OpenMP, pthread, OpenACC などのマルチコア並列インタフェースを,自由に組み合わせることができる mSMS ハイブリッドプログラミングモデルを提案した. すでに,マルチノードマルチ GPU による 27 点ステンシル計算において,ハードウエア環境の異なる 2 つのクラスタシステムにおいて,mSMS+OpenMP+OpenACC を用い,既存の mSMS + OpenMP による性能に比べ,およそ 10 倍の性能を獲得できることを示した. さらに,それを進め,1ノードに複数GPUを有しGPU 間にハードウエアリンク(NV Link)を持つシステムにおいて, mSMS+OpenMP+OpenACC + CUDA により,マルチノード上の大域配列データに対して,GPUDirect P2P による GPU 間直接通信利用を記述でき,ホスト-GPU 間通信オーバーヘッドを軽減できることを示した. また,mSMSを音響解析計算に用いる共同研究を行い.東大,東工大,九大など複数大学の計算センターのスパコン(汎用CPUクラスタ,およびGPUクラスタ)において,高性能計算が容易に記述でき, 特に,複雑な境界条件などの設定が,非常に楽になるという評価を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クラスタ(マルチノード)とGPU,CPU(マルチコア)を利用するあらゆる高性能計算において,汎用に利用できる高い移植性と高性能を提供するプログラミング環境を実現し,成果を得ている.現在,3つの大学センターにおけるGPUクラスタと汎用CPUクラスタにおいて,mSMSを利用したプログラミング環境が利用可能であることを示した. また,実際の応用研究者(音響解析)に利用してもらい,クラスタにおけるプログラム記述の容易さ,特に,これまでクラスタにおけるMPIの記述では,非常に面倒であった,複雑な境界条件などの記述が容易にできると,高い評価を得た. 各ユーザの,応用分野や利用計算機環境,各ユーザの並列プログラミングの技量などに応じて,OpenMP,OpenACC,CUDA, pthreadと自由に組み合わせ, クラスタにおけるマルチノード並列処理が,共有メモリモデルで容易に利用できる. 本来なら,さらに,様々な応用分野の高性能計算のユーザへの普及と目指したいところであるが,コロナにより,他の応用分野の研究者との接点がとれず,学会などでの普及活動や発表が十分にできない状況にある
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Strategy for Future Research Activity |
さまざまな応用, あるいは典型的な問題について,mSMSの提供するプログラミングインターフェースを利用して記述し,その記述性と性能について評価し,有効性を示す. また,様々な分野の高性能計算の応用分野の研究者が利用できるように,ソフトウエアの公開や,マニュアルの整備なども行う.
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Causes of Carryover |
コロナにより2020年4月から急遽,決まった大学の遠隔授業の準備などに追われ,十分な研究時間が確保できなかったこと,さらに,学会発表旅費,英文添削費などのために確保してあった予算が,会議の予定がたたないまま,年度後半になってしまったこと.さらに,これまで依頼していた外部のソフトウエア開発補助者の都合による退職で,ソフト開発予算が余ってしまったこと.などにより,予算を消費しないままとなった. 現在,複数の外部組織のスパコン使用料は,別予算で確保しているので,今年度は,対面での学会発表を待つことなしに,国際会議に発表するための学会発表予算として利用する.さらに,大学でのプログラム開発,デバッグ,学会原稿作成のためのコンピュータ環境の整備費用,および,システム普及のためのソフトウエア整備とマニュアル作成などの費用とする.
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Research Products
(2 results)