2021 Fiscal Year Research-status Report
メニーノード多階層メモリを統合する高汎用メモリシステムの研究
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18K11327
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
緑川 博子 成蹊大学, 理工学部, 助教 (00190687)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 分散共有メモリシステム / クラスタ / メモリ / PGAS / マルチコア並列処 / マルチノード並列処理 / 遠隔メモリ / 高性能計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 大規模計算機クラスタシステムにおいて, 巨大な大域共有メモリを実現するランタイムシステムmSMSと, それを利用するためのプログラミングインターフェースとなる様々なAPIを構築し, 高性能な並列プログラムを容易に開発できる環境を実現してきた. 2020年度から, 並列処理プログラム開発経験のない音響解析研究者と共同でスーパーコンピュータ(東工大Tsubame3,九大ITOなど)においてmSMSを利用した流体解析のソフトウエアを開発し, 2021年度,その成果を利用した論文が, 米国音響学会の論文誌に採択された. mSMSでは, ユーザの並列プログラム経験や利用可能なコンピュータシステムの環境に応じて選択できるように, 複数のプログラミングAPIを提供しており, 現在, 広く使われている既存のCPUコア, GPUコア並列APIであるOpenMPや OpenACCとも組み合わせて用いることが可能である. これらを組み合わせて, スーパーコンピュータ(クラスタシステム)において高性能処理が比較的容易に可能であることを示した. また, 分散メモリモデルを基本とするMPIによる記述とは異なり, mSMSでは, 仮想的な共有メモリを提供する. 実際にはクラスタに分散配置された大域共有配列に対し, データの所在(計算ノードの内外)を意識せずに, 複雑な記述が可能である点は, 並列処理を専門としない応用分野のユーザにとって, 大きな利点であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
応用処理プログラムを作成するユーザが容易にmSMSを利用したプログラム開発ができるように,マニュアルやサンプルプログラムなどを整備,提供することが重要であるが,マニュアルやサンプルプログラムの作成が思うように進んでいない.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度において,音響流体解析などにおいて,mSMSの記述性と性能の有効性が示されたので,今後,様々な分野の高性能計算の応用分野の研究者の利用のために,ソフトウエア公開,マニュアルの整備,スパコンでの利用環境整備などの,普及のための実際的な作業を推進する. また,新たに導入されたスーパーコンピュータシステムなどにおける稼働のチェックも必要と考えている.
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Causes of Carryover |
コロナにより,学会発表旅費,英文添削費などのため確保してあった予算が,会議の予定がたたないまま,年度後半になってしまった.年度後半に,予算の使途を,備品の購入に変更したが,若干の残金を残したまま,年度末になり,予算全額を消費しないままとなった. 次年度の使用計画は,破損したノートパソコンの修理費,残った少額の残高は,出張費用の一部補助もしくは,消耗品費用として充当する予定である.
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