2018 Fiscal Year Research-status Report
計算機の中の惑星探査: 計算機の中の惑星リングの実現にむけて
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18K11334
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
台坂 博 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 教授 (80399295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 圭史 神戸大学, 理学研究科, 教授 (00250910)
岩澤 全規 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (10650038)
牧野 淳一郎 神戸大学, 理学研究科, 教授 (50229340)
似鳥 啓吾 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 研究員 (80600824)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 惑星リング / シミュレーション / ヘテロ型アクセラレータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、土星リングに代表される惑星リングに関する諸問題(構造形成や起源)の解決を図るために、これまでにない大粒子数を用いた惑星リング全系のN体シミュレーションを可能とする方法を確立し、その手法を用いたシミュレーションを実施し、その有用性を実証することを目的とする。本年度は計算手法を検討し、その結果に基づいた数値計算コードの開発を行った。 検討課題の一つは、重力計算で用いられるツリー法のアルゴリズムの改良である。リングはほぼ2次元的な円盤形状で、かつ、リングの幅が軌道半径に比べて小さいため、通常のデカルト座標を用いた空間分割が不適切、また、リング粒子はケプラー回転に移動するため、デカルト座標を用いた空間分割では粒子はすぐに領域外に移動してしまう。結果、それらに起因するノード間通信が発生する。この問題を解決するために、円筒座標系と粒子と回転座標系を導入し、リング系に適合するようにアルゴリズムを改良した。このアルゴリズムに基づいた重力計算を加速するために、PEZY社が開発したPEZY-SC2向けへの実装を行った。また、ミドルウェア(FDPS)への実装も行い、そららを用いた数値計算コードを開発した。現在、コードの検証作業を行っている。 また、リング全系計算に向けた計算の一環として局所系の計算を行った。土星リングはいろいろな大きさの粒子からなるが、小さい粒子の量はサイズ分布から期待された量より少ないことがカッシーニの観測などにより示唆されている。その理解として粘着力が提案されている。その効果を調べるために局所系のN体シミュレーションを行い、粒子間の衝突速度を調べた。土星メインリングでの粒子間衝突は、大きい粒子の表面にくっついた小さい粒子を再放出するには小さいことなど、観測結果を説明することが出来ることなどを明らかにした。 これらの成果については研究会や学会等で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の体調不良により予定していた研究打ち合わせができず、また、開発した数値計算コードの検証作業も遅れているため、進展はやや遅れているとした。 さらに、計算機環境の変化により想定していた計算機を使用することができなくなったため、大規模計算を行うためには計算機の選定を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、開発したコードの検証をおこなう。検証には、まずは、光学的に薄いリングの計算結果との比較を行う。検証結果を踏まえ、必要に応じて、アルゴリズムの更なる改良、アクセラレータコードの改良を行う。 現状、1億粒子程度の計算を行える状況にある。この粒子数で計算可能な状況を設定してリング全系の計算を行う。 計算機環境の変化があったので、大規模計算が可能な計算機の検討を行う。状況に応じてGPUクラスターなどの使用も検討する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の体調不良により予定していた研究打ち合わせができなかったため、次年度使用が生じた。 この分は、今年度の研究打ち合わせに使用する。
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Research Products
(4 results)