2018 Fiscal Year Research-status Report
大規模線形方程式に対する安定・高精度求解を実現する数値解法の研究
Project/Area Number |
18K11342
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
伊藤 祥司 大阪電気通信大学, 工学部, 特任准教授 (70333482)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 前処理系 / クリロフ部分空間法 / 双ランチョス |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模線形方程式の求解では,CGS法(Conjugate Gradient Squared method,自乗共役勾配法)などクリロフ部分空間法に基づく反復解法の前処理付きアルゴリズムが用いられることが多い.我々の先行研究では,国際的標準として使用されている従来版の前処理付きCGS法(PCGS: Preconditioned CGS)の問題点を改善したPCGSアルゴリズム(改善版)を提案した.これにより,従来版PCGSでは解けなかった多くの線形方程式が解けるようになり劇的な改善を実現した. 今年度の研究では,我々が開発した改善版PCGS(Improved1)とそれから派生するImproved2 PCGS(Improved1と等価な別の改善版アルゴリズム),および,従来から用いられてきているPCGS(従来版)と左前処理系と呼ぶべきLeft-PCGSに対する数理面に関する研究を行った.各アルゴリズムの反復求解において構成される多項式の構造と数値解との関係に注目して分析し,求解問題である線形方程式(線形系)に対する双対系の初期残差ベクトルの構成と設定方法が線形系の多項式構造にも影響を及ぼすことが分かった.その結果,改善版が優位となることを確認した.そこで考察した研究結果を定理としてまとめ,数値例も併せて国際誌へ投稿中である.また,改善版PCGSアルゴリズムの数理構造に着目すると,演算量や計算時間を増やさずに,さらなる高精度求解を実現できることを確認し,そこでの成果を国内の研究集会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度は所属機関異動の1年目であり研究環境の整備に時間がかかったため,論文投稿の時期が遅くなった.
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Strategy for Future Research Activity |
現在投稿している論文が採択された後に,本研究課題の次のテーマでもある高精度求解に関する研究成果をまとめ,論文誌に投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
(理由)研究初年度が所属機関異動の1年目であり,国内外会議での研究発表を後回しにせざるを得なかったため. (使用計画)主に2019年度の成果発表に関する経費として使用する.
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