2020 Fiscal Year Research-status Report
エクサスケール計算機を想定した量子モデルシミュレーションに対する並列化・高速化
Project/Area Number |
18K11345
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
山田 進 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主幹 (80360436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 佑紀 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 副主任研究員 (20587026)
大橋 洋士 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (60272134)
町田 昌彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究主席 (60360434)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高性能計算 / マルチGPU / 固有値計算 / ハミルトニアン / LOPBCG法 / 並列計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
電子間に強い相関のある量子多体モデルであるハバードモデルのエネルギーを表現する行列の基底状態(最小固有値とその固有ベクトル)を高速に計算することを目標とし、固有値計算の反復法の1つであるLOBPCG法をマルチGPU環境向けに高速化・並列化した。このLOBPCG法は行列ベクトル積、ベクトルの内積、ベクトルの足し算等の線形演算の組み合わせで計算できる。行列ベクトル積では、並列計算のためにベクトルデータを他のGPUに通信する必要がある。そこで、GPUでの演算と並列計算のための通信(およびGPU・CPU間のデータ通信)をオーバーラップさせる実行方法を実装し、実際にマルチGPUの環境でその有効性を確認した。 ベクトルの内積では、CPU側のメモリに格納しているベクトルデータをGPU側に移動する必要があるが、ベクトルの足し算ではCPU側からGPU側に移動するだけでなく、計算で得られたベクトルをGPU側からCPU側に戻すことも必要である。そこで、これらのCPU・GPU間のデータ移動とGPUでの演算を同時に実行できるアルゴリズムを開発し、実際にデータ移動のコストをGPUでの演算コストで隠ぺいできることを確認した。 また、LOBPCG法で複数の固有ベクトルを求めるには、複数のベクトルを利用して反復計算を行えばよいが、安定に計算するためにはベクトルの直交性を保って計算する必要があり、これまでは計算量の多い修正グラムシュミット法を用いてベクトルの直交性を保っていた。しかし、近年、LOBPCG法のアルゴリズムの性質を考慮することでより少ない計算量で直交性を保つことのできるアルゴリズムが提案されたため、そのアルゴリズムを採用し、その安定性や計算性能を確認するとともに、マルチGPU環境向けに高速化・並列化し、実際にマルチGPU環境でも有効に利用できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチGPU環境での高速化を実現しており、高速化・並列化の研究自体は順調に進んでいる。また、物理結果についての論文発表も行っており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果の公表を行う。さらに高速化・並列化についても研究開発を進めていくとともに、実際に、開発したコードを量子問題に適用し、新たな物理的知見を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)研究成果の発表を予定していた会議等が中止になり、参加費・旅費を繰り越した。 (使用計画)既に新規の研究成果は得られており、その成果に適した論文誌への投稿料や会議の参加費・旅費として使用する。
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Research Products
(4 results)