2020 Fiscal Year Research-status Report
Symbol Emergence by Robots Through User-Driven Dialogues
Project/Area Number |
18K11359
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岩橋 直人 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (90394999)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 協力の数理モデル / Equilibrium Trellis / Physics Projection |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、できるだけユーザに負荷を与えることなく、ロボットとの自然な対話を通した記号創発学習―ユーザ主導型対話を通したロボットによる記号創発学習― の実現を目的としている。 目的を達成するために、2019年度には、知覚運動から言語に至るまでの階層構造モデルと、協力の基本数理モデルを開発した。そして、2020年度は、協力の基本数理モデルを発展させて、運転や共同運搬などの身体的協力と、マルチモーダル発話生成・理解や言語獲得などの言語的協力を、統一的にモデリングすることができる階層均衡-階層推論モデルの開発に成功した。記号創発学習をユーザとロボットの協力行動として捉えることにより、ユーザの負担が小さいインタラクションを可能となる。 具体的に、ユーザの負担を少なくするためには、学習する内容と学習のタイミングの適切に決定する必要がある。タイミングについては協力行動における予測が難しくなるタイミングを推測することが重要であり、このために、Equilibrium Trellis Inference を開発した。Equilibrium Trellis Inference は、従来の軌道推論が最適な一つの軌道を推論するものであったのに対して、複数の均衡軌道から構成されるトレリスを推論するものである。この均衡軌道が分岐する時点が、予測が難しいタイミングであることを意味する。 さらに、階層均衡-階層推論モデルとEquilibrium Trellis Inference を組み込んだ、人間の協力インタレクション実験を行うことができるインタラクティブソフトウエアRoCoCoを開発し公開した。RoCoCoは、現時点で、協力タスクとして、車の運転や机の共同運搬を実現している。数理モデルは汎用的であり、RoCoCoの仕様もできるだけさまざまなタスクに適用できるように柔軟なものとなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、①ロボットによる記号創発学習の研究と、②雑談対話の研究、の成果を統合するアプローチをとるとしていた。しかし、2018年度に実施した{研究項目1}感覚運動接地対話モジュールの開発、において、物理的信念(Physics belief)を学習・利用することが極めて重要であることが判明し、物理認知のモデルであるPhysics Projectionを開発した。 このモデルが、言語コミュニケーションを直接支える、協力能力のモデル化の足掛かりとなり、2019年度における協力の基本数理モデルの開発につながった。さらに、ユーザとロボットのインタラクションを協力行為としてモデリングし、記号創発学習を協力の中で捉えることにより、ユーザに負担が少ない効率的な学習が実現できるとの着想を得るに至った。こうして、ユーザフレンドリーな記号創発学習へのアプローチとして、インタラクションおよび学習の協力モデリングという、本質的に課題を解決可能なアプローチへと舵を切った。 このような方針に基づいて開発した協力の数理モデルとEquilibrium Trellis Inference は、他に類をみない非常に独創的なものであり、学術的に世界最高レベルにあると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度(最終年度)は、これまで開発してきたPhysics Projection,、協力の数理モデル、およびEquilibrium Trellis Inference を用いた協力インタラクションモデルの中に、記号創発学習を組み込み、ユーザへの負担が少ないユーザ主導型対話を通して記号創発学習手法を構成し効果を明らかにする予定である。
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Causes of Carryover |
2020年度に本研究の目的を達成するための本質的な解決方法を見出すことができ、当初予定していた達成度を大きく超える成果が期待できるようになった。これを実行するために、予算を次年度に使用する。
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