2021 Fiscal Year Research-status Report
Symbol Emergence by Robots Through User-Driven Dialogues
Project/Area Number |
18K11359
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
岩橋 直人 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (90394999)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 記号創発 / 協力 / 言語獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、できるだけユーザに負荷を与えることなく、ロボットとの自然なインタラクションを通した記号創発学習―ユーザ主導型対話を通したロボットによる記号創発学習― の実現を目的としている。 目的を達成するために、2019年度は、知覚運動から言語に至るまでの階層構造モデルと、協力の基本数理モデルを開発した。2020年度は、運転や共同運搬などの身体的協力と、マルチモーダル発話生成・理解や言語獲得などの言語的協力を、統一的に扱える階層均衡-階層推論モデルを開発した。さらに、階層均衡-階層推論モデルを組み込んだ人間の協力インタレクション実験を行うことができるインタラクティブソフトウエアRoCoCoを開発し公開した。2021年度は、記号創発学習をユーザとロボットの協力行動として捉えることによりユーザの負担が小さいインタラクションを可能とするために、身体的協力における調整発話タイミングを分析する手法、および階層均衡-階層推論モデルに基づいた対話制御手法を開発した。 調整発話タイミングの分析は、RoCoCoを用いて行うものである。二名の被験者がRoCoCoによる仮想空間での身体的協力タスクを対話しながら実行し、タスクの状況と発話のタイミングの関係をさまざまな角度から分析する。 階層均衡-階層推論モデルに基づく対話制御手法は、対話によって遂行するタスクの遂行を、協力のモデルに基づいた対話制御を用いて実行するものである。基本アルゴリズムの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、①ロボットによる記号創発学習の研究と、②雑談対話の研究、の成果を統合するアプローチをとるとしていた。しかし、2018年度に実施した{研究項目1}感覚運動接地対話モジュールの開発、において、物理的信念(Physics belief)を学習・利用することが極めて重要であることが判明し、物理認知のモデルであるPhysics Projectionを開発した。 このモデルが、言語コミュニケーションを直接支える、協力能力のモデル化の足掛かりとなり、2019年度における協力の基本数理モデルの開発につながった。さらに、ユーザとロボットのインタラクションを協力行為としてモデリングし、記号創発学習を協力の中で捉えることにより、ユーザに負担が少ない効率的な学習が実現できるとの着想を得るに至った。こうして、ユーザフレンドリーな記号創発学習へのアプローチとして、インタラクションおよび学習の協力モデリングという、課題を本質的に解決するアプローチへと舵を切った。2021~2022年度で、身体的協力と言語的協力の統一モデルである階層均衡―階層推論モデルを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度(最終年度)は、階層均衡ー階層推論モデルに基づいて、言語獲得の本質的な特徴であり自然なインタラクションによる記号創発である語用論的な言語獲得技術の開発を目指す。
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