2018 Fiscal Year Research-status Report
色収差およびカラーフィルタ絞りを利用したアオリ光学系による距離推定技術の開発
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18K11384
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
池岡 宏 福山大学, 工学部, 准教授 (20579966)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 距離推定 / アオリ光学系 / 色収差 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにアオリ光学系による距離推定方式を,車載用途などリアルタイム用途で利用しやすい方式として確立することを目的とし,研究を進めてきた.特に,車両の全周囲にわたって距離推定を行うなど,事故予防運転や自動運転等に活用できるよう,本方式の改良や工夫を行ってきた.その中でもメインとなる研究対象は,距離推定範囲の広範囲化および高精度化である.ただし,光学系に起因する画像の劣化によって,どうしても鮮鋭度(焦点ぼけ)の推定誤差が大きくなる.本方式では,鮮鋭度を使い広範囲の距離推定を行うことから,鮮鋭度の推定誤差はそのまま距離推定の誤差に大きく影響を与える.しかし,光学系の改良によるレンズ収差の抑制には大きな制約がある.例えば,一般的な解決手法として異なる材料や曲率のレンズを複数枚組み合わせて利用する方法が考えられるが,光学系の大型化や重量増などシステムの設置および利用において不便さが生じるという別の問題を引き起こす.そこで,推定誤差を引き起こす要因となっていたレンズ収差を逆に利用することで,距離推定精度の向上を図ることにした.まず,手を付けたのが色収差である.一つのセンサでRGBそれぞれの画像を取得することになるが,RGBそれぞれで焦点距離が異なるため,異なる光学系で3枚のアオリ画像を入手したのと同様の効果を得ることができる.よって,2台のカメラでそれぞれ3枚の画像,つまり全6枚の画像を使い距離推定を行う手法の研究を行った.なお,本研究では,主に6種類のアオリ光学系の最適な設定について検討を行った.具体的には,各周波数帯域でどの距離推定範囲を担うかを検討することで,距離推定の高精度化と広範囲化の両立を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
距離推定精度の向上と距離推定範囲の拡大を意図した方式改善を検討するにあたって,まず色収差の利用を進めた.ただし,実機による実験を実施する前に,レンズシミュレータを使うことで,実機を使った実験においてどのような結果得られるかをある程度予測する作業を行った.その際,予想以上にRGBの各周波数によって距離推定できる範囲が異なることがわかり,また,あえて色収差を活用することから,従来の色収差を抑制する一般的なレンズ設計とは大きく方針や考え方が異なることから,距離推定用途に最適なレンズ設計に苦慮した.具体的には,多数のレンズパラメータ設定の試行錯誤に非常に多くの時間を要した.従って,絞りの活用に関するシミュレーションまで作業を進めることはできなかったが,色収差の利用に関しては非常に多くの情報を取得できた.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,色収差による距離推定の精度改善および広範囲化を図るとともに,カラーフィルタを用いた絞りの利用についても検討する予定である.なお,カラーフィルタによる絞りの利用については,カラーフィルタの透過周波数帯域および開口径の二つについて議論する必要があるが,これらはこれまでに検討してきた色収差の利用に関する検討事項と組み合わせると非常に大きな次元で最適解を探すことになる.従って,各パラメータの最適値の探索に多くの時間を割く必要があることが考えられる.加えて,ニューラルネットワークの活用についてもこれまで以上に積極的に進めていく予定である.特に,ニューラルネットワークのユニット数・層構造の検討に多くの時間を割く予定である.最終的には,これまで利用していた一眼レフカメラによる大型の簡易撮影装置ではなく,比較的小型の撮影装置で単レンズを利用した光学系および小型イメージセンサを組み合わせた撮影装置を構築し,それを用いた性能限界について調査をする予定である.
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Causes of Carryover |
ソフトウェアシミュレーションを使ったレンズ設計の検討に非常に多くの時間を費やしたこと,および国内外の学会発表のための旅費については,別途予算を利用したことが次年度使用額を生じさせた主な理由である.今後は,実機を使った実験を進めることで,予定通り予算を消化する予定である.
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Research Products
(2 results)