2019 Fiscal Year Research-status Report
センサ付きパッシブ高機能RFIDデバイスを活用する実世界インタラション手法の研究
Project/Area Number |
18K11388
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 伸 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00272691)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | RFID |
Outline of Annual Research Achievements |
パッシブ高機能RFID(PHF-RFID)を活用したインタラクション手法の一例として, 昨年度から引き続き磁気センサを搭載したPHFを利用して磁石をつけた指の位置を識別するシステムの試作を行っている.初期の試作ではPHF-RFID評価基板3つを眼鏡型デバイスの前面と両側面に付けて利用していた.しかし,RFIDリーダにおいて取得できるデータに不安定な面があった.そこで,まずはデータの取得レートや安定性がどの程度状況によって変わるのかを実験により調査した.RFIDの数も評価基板を2つに減らすなどして試した.この結果,複数のRFIDタグがある場合,RFIDリーダが均等に各タグのデータを読みとらず,比較的偏って続けてデータを読みとる傾向が強いことがわかった.通常のRFIDタグの場合は,リーダの読み取り範囲にタグがあるかないかを判別する(あるタグのIDを読み取る)だけなので,同じタグを何度も高速に読み取るということはあまり無い.しかし,PHF-RFIDの場合には,刻一刻と変化するセンサデータを読み取りたい場合が多い.このPHF-RFID向けの設定がRFIDリーダの設定変更等により可能であるか,継続して調査中である.また,同様にRFIDアンテナとタグとの距離や方向によって,読取性能が変化するかを調査した.その結果,数センチ以内の近付けすぎる場合と,50cm以上離した場合に読み取り性能が低下した.どちらの場合も必要な電力が得られなかったためと思われるが,予想より若干距離が短かいため,今後より詳細な調査を行う.その他,加速度センサ搭載タグを用いたジェスチャインタラクションや,圧力センサ等のアナログセンサの活用などを検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より引続き試作実験を行うなかで,課題をいくつか発見した.具体的には,昨年度に整備した構内無線局免許によりRFIDリーダーで利用できる電力は1Wと通常より強力となっているにもかかわらず,当初の想定より近距離でないとタグが動作しなかった.また,複数タグから均等にデータを取得できず,特定のタグからのデータに片寄ってしまう現象が発生した.これらの課題に対処するために,基礎的な調査実験を追加的に実施した.そのため,フレームワーク開発の発展は今後の課題となったが,既に昨年に大枠は計画済みであり,試作を行っている.また,磁石を用いた指の位置取得に関する試作については国際学会HCII2020に論文を投稿した.2020年度に発表を予定している.以上より,おおむね計画通りであると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
引続き研究実施計画に則って研究を推進する.最終年度であるため,下記の各項目について,それぞれ進める. (1)PHF-RFIDを用いたデバイスの開発フレームワークの確立.既に開発フレームワークの大枠は開発済みであるが,これまでに試作したデバイスを用いた実験の知見などから,1つのタグに複数センサを搭載したほうが安定的にデータを取得できそうであるが,必要電力が多くなる.タグ数と電力のトレードオフ的関係などを考慮してフレームワークの発展を試みる.また,非定型的なオブジェクトへの埋め込みも検討する. (2)PHF-RFIDデバイスを活用するソフトウェアの設計実装.試作したデバイスを活用したアプリケーションを実装してユーザ評価を行い,開発の知見を増やす. (3)PHF-RFIDを活用するインタラクション手法の開発.本研究の一義的な目的は,PHF-RFIDタグを実世界環境におけるインタラクションの中でどのように活用するかを研究することであり,開発フレームワーク環境整備と並行して,効果的なインタラクション手法を設計・実装する.さらに,その有効性を実験により評価する.さらに,このPHF-RFIDデバイスならではの,インタラクション手法の設計・実装を目指す. また,研究結果の論文化および研究発表を行う.
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