2020 Fiscal Year Research-status Report
センサ付きパッシブ高機能RFIDデバイスを活用する実世界インタラション手法の研究
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18K11388
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高橋 伸 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00272691)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | RFID |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,昨年度から引続きパッシブ高機能RFID(PHF-RFID)を活用したインタラクション手法の一例として,磁気センサを搭載したPHF-RFIDを利用して,磁石をつけた指の位置を識別するシステムの試作について,追加的評価を行い,論文発表を行った.顔面上のタッチ位置を識別する評価では,顔の両側面にPHF-RFIDセンサを装着した状態で,6点の位置の識別を行い,識別率が65%程度であった.これは磁気センサからのデータが指の向きに対して比較的敏感に変化するためであると考えられるが,より多くの学習データを用いて学習させる特徴量の工夫をすることによって,より高い精度を得られると期待できる.この試作では顔と指に装着するデバイスを完全にバッテリーレスで駆動させることに成功していて,PHF-RFIDを利用したインタフェースの可能性を実証できたと言える. また,これまでに設計し,実装を行ってきたPHF-RFIDを用いたデバイスの開発フレームワークを利用して,実際にデバイスを開発し,それを利用したアプリケーションを実装するための準備を行った.磁気センサの試作では市販の評価基板を用いたが,開発フレームワークを用いて独自のセンサをつないだ試作を行う.そのために,開発フレームワークを用いて,センサをつなぐためにマイコンのファームウェアを書き換えられることを確認した.この開発フレームワークではノードをつないでいくようなビジュアルプログラミング環境を用いてファームウェアを作成することができる.さらに,テストとしてサーミスタなどのセンサが電波によって得られる電力的に利用できるかなどの予備調査を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来は令和2年度で研究期間が終了する予定であったが,研究期間を1年間延長した.これは,COVID19の影響で研究室での活動が一時的に制限されたためである.ソフトウェア開発についてはリモートあるいは自宅でも行うことができるが,RFIDリーダの無線局免許が大学内となっているため,その実験は必然的に大学内でしか実施することができず,研究の進捗が若干遅れた.そのため,延長した期間において,引続き開発フレームワークを用いてデバイスを開発するケーススタディを行い,そこで開発するアプリケーションのユーザ評価,研究成果の論文化を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるため,これまでの未実施分を重点的に,下記の各項目について進める. (1)開発フレームワークを用いたPHF-RFIDを用いたデバイス開発のケーススタディを行う.このケーススタディにより開発フレームワークの有効性を確認するとともに,試作したデバイスを活用したアプリケーションを実装して,ユーザ評価を行い,開発の知見を増やす. (2)PHF-RFIDを活用するインタラクション手法の開発.本研究の一義的な目的は,PHF-RFIDタグを実世界環境におけるインタラクションの中でどのように活用するかを研究することである.PHF-RFIDデバイスならではの,インタラクション手法の設計・実装を目指す. また,研究結果の論文化および研究発表を行う.
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Causes of Carryover |
COVID19のため学内の研究室における実験が制限されたため、研究の進捗がやや遅れたことと、国際会議がオンライン開催となり旅費が不要となり参加費が減額されるなどのために、当初予定より使用金額が減少した。この残額は延長した研究期間1年間において、謝金および学会参加費等のために使用する。
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