2018 Fiscal Year Research-status Report
農業実践例の大規模類似ネットワークに基づくナレッジベースの構築
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18K11441
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
大久保 誠也 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (90422576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉藤 和巳 神奈川大学, 理学部, 教授 (80379544)
伏見 卓恭 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (80755702)
池田 哲夫 静岡県立大学, 経営情報学部, 教授 (60363727)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ナレッジベース / 農業環境データ / 時系列データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、農業・教育などの専門知識と熟練が不可欠な分野における、大規模類似ネットワークを基としたナレッジベースの構築方法の確立と、その有効性の実証評価である。そこで本研究では、1) 類似検索、構造可視化、類型化を実現するシステムの構築と有効性の実証評価 2) ナレッジベースを精錬し高度化する技術の確立と有効性の実証評価 3) 農業関連知識抽出のための変化点検出技術の確立と有効性の実証評価、に取り組んでいる。 1) については、時系列データをベクトルとして捉え、各日の変化を類型化する手法を提案した。また、4件のバラ農家の環境データに提案手法を適用し、特徴的な3つの変化に類型化、その比較を行うことで、手法の有効性を評価した。また、農業や漁業において、出荷量と価格の関係は、非常に重要である。ただし、野菜・果物・花などで、その関係は異なる可能性がある。そこで、関係を明らかとする手法を提案した。具体的には、出荷量と価格の変化の類似度を求め、業種ごとにまとめることにより、関係性にどのような特徴があるかを評価した。その結果、出荷量が増えれば価格が安くなるという単純な関係とはならない分類があることが明らかとなった。 2) については、農業に関する各種分析に必要なデータ収集方法を検討した。検討結果を踏まえ、データ収集用小型デバイスの試作を行った。また、小型デバイスを静岡市内のバラ農家に設置し、データの収集を行った。収集されたデータは、1)や2)で提案した手法の検証に用いている。 3) については、中長期にわたる環境データを分析する手法を提案した。提案手法は差分累積値を基にしており、時系列データのある時点が、全体的な傾向のうち、どのように位置づけれられるかを明らかとできる。また、バラ農家の時系列データに適用することにより、従来の手法と比較して、どのような利点があるかを明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的1)ならびに3)については、すでに解析手法を複数提案し、実データを用いた実験まで行っている。よって、概ね順調に進んでいると言える。 目的2)については、もととなるデータの収集の初期段階を終えている。今年度の成果を踏まえ、次年度以降の環境データ収集について、デバイスの安定化や異常値検出に向けた検討をはじめている。よって、概ね順調に進んでいると言える。 これらのことより、全体として、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータ収集方法を検討・実施するとともに、各種データ解析方法の検討を行っていく。特に、農業においては、理想となる環境を目指して環境制御を行うことと、環境に影響を与える気象等の状況は大きなばらつきが存在することがあり、環境データは正規分布せず、偏ったデータとなる。このようなデータに対しても有効な分析・可視化方法の構築を行う。くわえて、実際に農業従事者の方に見ていただくことにより、本研究で構築した可視化法の有効性の評価を行い、最終的なシステム化について検討を行う。
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Causes of Carryover |
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用への採録が2018年度中に決まったが、実際の掲載は2019年度となった。そのため、2018年度で計画していた論文掲載代分が2019年度への繰越となった。
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