2018 Fiscal Year Research-status Report
Nonlinear time series analysis for random dynamical systems
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18K11461
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平田 祥人 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (40512017)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 時系列解析 / 非線形性 / 確率論性 / 複雑系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非線形で確率的な対象から生成された時系列データを解析するための方法論を構築することを目的とする。今までの非線形時系列解析は、線形で確率的な対象と、非線形で決定論的な対象を対比することで発展してきた。この歴史的経緯のため、非線形で確率的な対象を特徴付けることが、うまくできないという問題点があった。そのような対象としては、生命現象、気象現象、経済現象などが含まれる可能性があると想定している。
2018年度は、非線形で確率的な対象を同定する手法を構成した。この手法では、決定論性の検定と、線形性の検定を独立に用意した。決定論性の検定には、出現する順列(permutations)が、決定論的でexpansiveなシステムに対しては、順列の長さを長くするとき、指数関数的に増加するという性質を用いた。具体的には、出現する順列の数の対数が、順列の長さに対して、線形に増大するか、それとも2次関数的に増大するかを、F検定を使って検定する手法を構築した。一方、線形性の検定には、現在、一般的に用いられるiterative amplitude adjusted Fourier transform surrogatesを拡張したNakamura et al. (2006)の手法を用いてサロゲートデータを生成し、x(t)^2x(t+1)^2の平均を検定統計量として用いてサロゲートデータと元のデータを比較するという手法を構築した。検討した数理モデル(線形自己回帰モデル、ロジスティック写像、GARCHモデル, noise-induecd orderの数理モデル等)で、提案手法が、うまく非線形で確率的なシステムを同定できることを確認した。ただし、現状では、1000000点という長い時系列データでのみ手法の有効性が確かめられている。加えて、為替市場のデータ、東京の気温のデータに対しても手法を適用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の目標は、おおむね順調に達成された。ただ、現状では、概要のところでも議論した通り、1000000点という非常に長いデータで、提案手法が有効に働くことを示している。現実的なデータに応用するには、多くても、10000点ぐらいのデータ点でうまく動く手法にする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
より、短いデータでも、非線形で確率論的なシステムを同定できるように手法を改良する。その上で、2019年度は、非線形で確率論的なシステムの確率的な要因の同定、時系列予測の研究に取り掛かる。
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Causes of Carryover |
当初は、論文をopen accessの雑誌に投稿することを想定していた。しかし、2018年度に開発した手法は、1000000点の長さの時系列データが必要という大きな制約があり、その制約克服の試みに時間がかかり、論文投稿までに想定よりも長い時間がかかった。この制約のため、2019年度以降に発表できそうな結果の方が、より学術的な意味が大きそうなので、現在投稿中の論文をopen accessの雑誌に投稿するのをやめた。また、2019年度は、その他、2回の国際会議への参加、投稿論文の掲載料、その論文のための英文校正の費用、加えて、研究のさらなる加速のためノートパソコンの購入等を考えている。
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Research Products
(2 results)