2018 Fiscal Year Research-status Report
生物リズムにおける振動と同期のメカニズムの解明と実験研究の提案
Project/Area Number |
18K11464
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡 宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80435974)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 同期現象 / 生物リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では生物系の実験研究で発見された課題に対して、出来る限り簡単でときに抽象的なモデルを立て、メカニズムの一般的かつ包括的な理解を得、それを実験研究者にフィードバックすることを目的としている。30年度は主にマイクロ・スイマーのダイナミクスの位相記述理論の構築に取り組んだ。微生物は鞭毛を周期的に動かすことにより遊泳するが、鞭毛が複数あるときは流体を介して鞭毛同士が相互作用し、同期を起こすことが知られている。個体間でもそのような同期が見られる可能性がある。鞭毛の同期と遊泳の相互作用を明らかにするため、遊泳の周期的運動を位相記述し、さらに、遊泳方向の自由度を考慮した、遊泳位相と進行角度の結合系を定式化した。具体的に計算を進めるために、2つの球による簡単な遊泳子を仮定した。少数の游泳子を規則的に配置した場合をシミュレーションによって観察し、直列に配置した場合には遊泳子間の同期が見られることが確認できた。またパラレルに配置するとクラスタを作って遊泳することがわかった。また大集団の場合は進行方向の秩序化が現れることが確認できた。しかし、同期と進行方向の秩序化の相互関係については不明な点が多い。特に、同期が遊泳のエネルギー効率に与える影響に興味があるのだが、これについてヒントを得るために、遊泳運動を平均化した場合でのシミュレーションを行った。構築された理論枠組みを用いて、今後は一般的な理論の構築を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに研究を遂行できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
予定通り、今後の研究を遂行する。
|
Causes of Carryover |
概ね予定通り予算執行を遂行した。少額の繰越は次年度に消耗品などで使用予定である。
|
Research Products
(4 results)