2019 Fiscal Year Research-status Report
生物リズムにおける振動と同期のメカニズムの解明と実験研究の提案
Project/Area Number |
18K11464
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡 宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80435974)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 同期現象 / 生物リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
振動と同期に関する研究は世界的に活発に行われているが、未解決問題は山積しており、また、特に生命科学分野からは、日々加速度的に進化する実験技術の向上に伴って新たな課題が次々と出現している。本研究課題の目的は、生命システムにおける振動と同期のメカニズムと役割を解明することである。2019年度は、主に、生命システムにおける重要な振動である概日リズムに関する研究を進めた。まず、シアノバクテリアの概日リズムを構成する、単一分子レベルで起こる周期的な生化学反応に由来する振動と同期の理論枠組みの構築をすすめた。特に、マスター方程式で記述される分子レベルのダイナミクスと、決定論的な常微分方程式で記述される濃度レベルのダイナミクスのミクロ・マクロリンクの定式化の検討を行った。また、概日リズムに対する位相シフト、すわなち時差ボケの理論研究に関しては、これまでの成果報告と情報収集に努めた。この話題に関しては、新規に複数の睡眠の研究者と議論を始め、シフトワーカーの経験する社会時差に関する問題点を洗い出した。さらに、ベイスン安定性などの同期の非線形安定性も生命システムにおいて不可欠であると考え、ノイズをいれたときの同期が壊れるまでの初期通過時間のネットワーク構造依存性について数値解析を行い、いくつかの理論的予測と比較検討を進めた。特に、初期通過時間が、線形安定性から予想されるゆらぎの大きさと、強い相関を持つことが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通りに研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
成果発表が先方払いになるなど予定より出張費が減ったのが主な理由である。 今後は新型コロナの影響が排除され次第、積極的に海外における成果発表を行う。
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Research Products
(4 results)