2021 Fiscal Year Research-status Report
生物リズムにおける振動と同期のメカニズムの解明と実験研究の提案
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18K11464
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡 宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80435974)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 同期 / 生物リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
振動と同期に関する研究は世界的に活発に行われているが、未解決問題は山積しており、また、特に生命科学分野からは、日々加速度的に進化する実験技術の向上に伴って新たな課題が次々と出現している。本研究課題の目的は、生命システムにおける振動と同期のメカニズムと役割を解明することである。2021年度は、2020年度に引き続き、マイクロ・スイマーの振動ダイナミクスの記述とエネルギー論に関する研究を進めた。微生物は鞭毛を周期的に動かすことにより遊泳するが、鞭毛が複数あるときは流体を介して鞭毛同士が相互作用し、同期を起こすことが知られているある。微生物のスケールにおいて流体は低レイノルズ数であり、非常によい近似でストークス流れとみなすことができる。こ鞭毛を一次元的に動く質点の往復運動によって記述し、質点間の相互作用はストークス流れが媒介し、それぞれの運動に影響を与える状況を考えた。2021年度は多数の質点を考え、2つの質点が作り出す流れと比較を行った。その結果、多数であると流れの強さが強まることは当然だが、1つの質点が消費するエネルギーに基づいて輸送効率を計算すると、多数であればエネルギー的に得であることを見出した。また、輸送効率の観点で最適な質点間の位相関係を数値的に求め、ウエーブ状の位相関係が得られることがわかった。微生物でみられる多数の鞭毛・繊毛集団のウエーブ状のダイナミクスの機能に関する洞察が得られると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね予定通りに研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
鞭毛集団の作り出す流れを考えるに当たり、壁の存在が不可欠である。これまでは無限に広がる空間を考えていたが、新たに壁の上に質点を並べたセットアップで数値解析を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により学会における研究成果の発表がオンラインとなったことが大きく影響している。余った予算は研究補助者の雇用などによって研究加速のために使用する予定である。
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