2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study on the oscillation and synchronization mechanisms in biological rhythms and the proposal of experimental studies
Project/Area Number |
18K11464
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
郡 宏 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (80435974)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 同期 / 生物リズム |
Outline of Annual Research Achievements |
振動と同期に関する研究は世界的に活発に行われているが、未解決問題は山積しており、また、特に生命科学分野からは、日々加速度的に進化する実験技術の向上に伴って新たな課題が次々と出現している。本研究課題の目的は、生命システムにおける振動と同期のメカニズムと役割を解明することである。2022年度は、 2021年度に引き続き、マイクロ・スイマーの振動ダイナミクスの記述とエネルギー論に関する研究を進め、特に、論文執筆に注力した。提出論文[arXiv:2304.10082]の概要は次の通りである。ほとんどの細菌は、長いフィラメントと短い柔軟なフックを介した回転式分子モーターからなる繊毛または鞭毛によって駆動されている。これらのフィラメントの拍動パターンは、特に低レイノルズ数の流体において、流体力学的相互作用による同調特性を示す。ここでは、繊毛や鞭毛の動きを単純化して模倣した、アクティブな力によって一次元の振動運動を行う単純な球状振動子に基づくモデルを紹介する。テスト粒子の純輸送量によって測定される流れは、振動子の連鎖によって生成され、ビーズ間の流体力学的相互作用によって増強されることが、摂動的および数値的な結果から支持されて実証された。輸送効率も流体力学的相互作用と高い相関がある。ビーズ数を増やすと、少なくともビーズ数が少ない場合には、より強い流れと効率が得られると一般に予想される。エネルギー効率という機能上重要な指標を、数値計算のみでなく摂動論を用いて解析的に得られたことに大きな意義があると考えている。
|